相対的貧困率とジニ係数から分かること

 以前、このコラムでは相対的貧困率ジニ係数について取り上げました。今回はこれら2つのデータを使って、日本の貧困や格差の現状について考えてみたいと思います。

日本は残念ながら貧困率が高く、格差も大きい国

 2015年度における日本の相対的貧困率は15.6%でした。2015年における日本の人口は1億2700万人でしたから、ざっと計算すると約2000万人が貧困の状態にある計算になります。15.6%という数字は先進国中ではかなり高い部類に入ります。

 一方、日本のジニ係数は、所得再分配前が0.570、所得再分配後は0.376となっています。OECD(経済協力開発機構)の基準で国際比較した結果では、所得再分配後でもOECDの平均値より高い値を示しており、日本は格差が大きい国に分類されます。

 相対的貧困率とジニ係数について国際比較した場合、日本は先進国の中では、貧困の割合が高く、格差が大きい社会であるという結論になります。

 先進各国のうち、米国は相対的貧困率が高く、かつ所得格差も大きいですから、イメージ通り、弱肉強食社会であることが分かります。強い人が富を独占し、弱者にはあまり再分配されません。

 ただし、このことは所得の低い米国人が絶対的に貧しい暮らしをしていることを意味しているわけではありません。米国は1人あたりのGDP(国内総生産)は日本の1.5倍もあります。1人当たりのGDPは平均年収に近いと考えてよいですから、1人の米国人が買えるモノやサービスは日本人の1.5倍あるわけです。

 国内の物価は高いですが、輸入されるものであれば条件は同じになります。米国は格差が大きいものの、豊かさの絶対値が大きいことで、何とかバランスを取っていると言えるでしょう。

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欧州型か米国型か選択する必要がある

 一方、フランスやドイツなど欧州各国は、相対的貧困率が低く、ジニ係数による格差も小さいという結果になっています。

 ひとくちに欧州といっても状況は様々ですが、総じて、国民負担が大きい代わりに、再分配制度が機能しており、貧富の差を少なくしています。ドイツやフランスにおける所得再分配前のジニ係数は高いこともこれを裏付けています。
 日本もかなりの累進課税制度が採用されており、所得の高い人から高額の税金を徴収する国として知られていますが、所得を再分配しても、十分に貧富の差を縮小することができていません。

 所得の再分配機能としては、大きく分けて税金によるものと社会保障制度によるものの2つがありますが、ほとんどが社会保障制度によるものとなっており、税金が寄与する部分が小さいという特徴があります。

 日本の社会保障制度の規模はOECD各国の中では平均的ですが、格差のレベルは高いという結果になっています。日本の社会保障制度にはかなり非効率な部分が存在している可能性が高いとみてよいでしょう。

 つまり日本は米国型でも欧州型でもない中途半端な立ち位置となっており、これが貧困と格差を拡大させています。欧州のように国民負担を重くするかわりに福祉を手厚くするのか、米国のように弱者救済はしないものの、徹底的な自由競争で国全体を豊かにするのか、選択する必要がありそうです。