トランプ大統領との首脳会談を行うため、金正恩氏を乗せてシンガポールに向かっていたと見られる中国国際航空(エアチャイナ)の航空機が日本時間の6月10日15時43分、チャンギ国際空港に着陸しました。
北朝鮮が保有する旧ソ連製の専用機を使用するのか、民間のチャーター機を使用するのか議論となっていましたが、どうやらエアチャイナのチャーター機が用いられたようです。
北朝鮮は政府専用機を保有をしていますが、同国の公式専用機は旧ソ連製のイリューシンIL-62を改造したもので、機体が古く故障が多発しているといわれてきました。シンガポールまでは長旅ですから、この機体を使えるのかどうか疑問視する声が上がっており、一部メディアは、エアチャイナのチャーター機が使用されると報じていました。
会談前日の10日午前8時30分にエアチャイナのボーイング747型機が平壌を離陸、その1時間後には北朝鮮の政府専用機が平壌を離陸しました。
金正恩氏は、政府専用機ではなくエアチャイナに搭乗した可能性が高く、同機は当初、北京に向かうフライトプランでしたが、途中でシンガポール行きにプランを変更。中国の海南島からベトナム上空を経て、15時43分にシンガポールに着陸しています。前後していくつかの航空機がシンガポールに向かったとの報道もあります。
筆者も航空機の位置特定サイトなどで同機の飛行経路をリアルタイムで確認しましたが、エアチャイナ機のシンガポール着陸直前には、付近の空域から一般の航空機がほぼすべて排除されるなど、特別なフライトであることは明白でした。この便に金氏が搭乗していた可能性はかなり高いでしょう(追記:その後、飛行機から降りる金正恩の写真が公開され、同機に搭乗したことがほぼ確実となりました)。
北朝鮮側は、金正恩氏の機密保持に神経を使っており、排泄物などから健康状態を知られないよう、専用のトイレなども搬入しているとの報道もあります。
航空機での移動は制約も多く、今年3月に金正恩氏が北京を訪問した際には、専用列車が使用されました(参考記事「共産圏の独裁者はなぜ専用列車での移動を好むのか?」を参照)。今回はシンガポールという距離の離れた場所であり、大規模な資材の移動も必要となることなどから、中国政府の助けを借りたものと思われます。