コンビニ経済学 第2回
前回も解説したように、コンビニ業界の店舗数は他の業態を圧倒しています。業界トップのセブン-イレブンは約2万店の店舗を抱えていますが、こうした多数の店舗を自社だけの力で展開していくのは困難です。
コンビニ業界のカギを握るFC制度
コンビニ業界では、フランチャイズ(FC)という制度を使って、多店舗展開を行っているのですが、フランチャイズ制度はコンビニ業界の核心部分ともいえる重要な仕組みです。
フランチャイズ制度とは、店舗の実際の運営を別の企業や組織に任せてしまうやり方です。各店舗のオーナーは、フランチャイズ加盟店として本部にロイヤリティを支払う代わりに、チェーンの看板を使わせてもらったり、商品の仕入れなどで支援を受けることができます。
例えばセブンが展開している2万店舗のうち、セブン-イレブンによる直営店舗となっているのは500店舗程度であり、それ以外の店舗には、それぞれ独立したオーナーが存在しています。日々のオペレーションを外部に任せることで、本部は全体戦略の立案などに専念できますから、効率良く多店舗展開が可能となるわけです。
しかしながら、フランチャイズ制度はメリットばかりではありません。本部と加盟店は常に利益相反を起こすリスクを抱えており、両社の関係は微妙です。
例えば、加盟店が本部に支払うロイヤリティを一方的に高く設定すれば本部の利益は増加しますが、各店舗の利益は減ってしまいます。
フランチャイズに加盟する店舗が儲かっていないと、新しくチェーンに参画する人が減ってきますから新規出店も難しくなります。店舗の経営が苦しいと接客の質などサービス低下にもつながってくるでしょう。
フランチャイズ制度は右肩上がりが大前提
一方で、加盟店の利益を過度に大きくすると、今度は本部企業の業績が伸び悩んでしまいます。
もし市場が順調に拡大している場合には、両者の利益が拡大するので、いわゆるウィン-ウィンの関係を構築することが可能です。しかしながら、市場が伸び悩んでくると、場合によっては本部と加盟店との間でパイの奪い合いとなり、両者に亀裂が入るケースも出てくるわけです。
フランチャイズ制度は外食など他業種でもよく使われていますが、成長が頭打ちになり、本部と加盟店の関係がギクシャクする事例は少なくありません。極論するとフランチャイズ制度というのは、市場が拡大することを前提にしたシステムと考えた方がよいでしょう。
これまでコンビニ業界は右肩上がりで成長が続いてきましたから、大きな問題は発生していませんでした。しかし、本格的な人口減少時代を迎えた今、コンビニ業界もフラチャイズ制度の維持について微妙が舵取りが求められるようになっているのです。
フランチャイズ加盟店と本部でどのように利益を分け合っているのかについては、次回に解説したいと思います。