コンビニ経済学 第1回
コンビニは日本のあらゆる地域を網羅した生活の基本インフラとなっていますが、コンビニがこれほどまでに普及した背景には、日本特有の様々な事情があります。
本サイトでは「コンビニ経済学」と題して、コンビニとはどのような存在なのか、複数回にわたって解説していきたいと思います。
コンビニの事業規模は突出している
日本の小売業界におけるコンビニの地位は圧倒的です。都市部の大きな交差点には、複数店舗が軒を連ねていますから、とにかく多数のお店が存在していることは、多くの人が認識していると思います。
では、実際にコンビニはどの程度の店舗を構えているのでしょうか。日本フランチャイズチェーン協会の調べでは、全国にあるコンビニの店舗数は2018年1月時点で約5万5000店舗となっています。平均的なコンビニの場合、1日あたり1000人程度の来客がありますから、1日に5500万人が利用している計算になります。
日本の人口は約1億2000万人で、この中には、乳幼児や高齢者も含まれていますから、日常的に外に出歩く人はもっと少ない数になります。こうした状況を考えると、5500万人という数字は驚異的です。つまり、コンビニは、ほとんどの日本人が毎日、利用しているといっても過言ではありません。
コンビニ業界のトップ企業は言うまでもなくセブン-イレブンを擁するセブン&アイ・ホールディングスです。セブンイレブンの店舗数は2018年2月時点において2万260店舗でしたから、約37%のシェアを握っています。
上位3社でシェアのほとんどを占める
以前はトップのセブンに2位のローソン、3位のファミリーマートが続くという図式でしたが、ファミリーマートとサークルKサンクスが2016年9月に経営統合したことで、新生ファミリーマートの店舗数は1万7232店舗(2018年2月時点)とセブンに肉薄することになりました。ローソンの店舗数は1万3111店舗(2017年2月時点)ですから、経営統合によってローソンが少し差を付けられた形になっています。
上位3社の店舗数は5万店舗を超えますから、日本のコンビニのほとんどをこの3社で占める寡占市場となっていることが分かります。
この店舗数は他の小売店や飲食店と比較すると圧倒的です。コーヒー店チェーンのドトールの店舗数は約1300、均一価格で急成長した居酒屋の鳥貴族の店舗数は約600ですから、コンビニとは比較になりません。良くも悪くも、コンビニという業態は突出した規模といってよいでしょう。
ちなみにコンビニ全体では年間約11兆円の売上高がありますが、これはスーパーに匹敵する水準で、百貨店の2倍近い数字です。製品単価が高い家電量販店でも4兆円程度ですから、コンビニの規模が大きさが分かります。
このところコンビニの限界説が囁かれていますが、ここまで普及、寡占化が進めば、今後、大きな伸びが期待できないのは当然のことかもしれません。