加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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4~6月期に続いて、7~9月期のGDPもマイナス?

 

 このところ景気に対する不透明感が高まっています。安倍首相は、GDP600兆円というあらたな数値目標を掲げ、内閣改造を行ったばかりですが、足元の状況はますます厳しくなっています。市場では、7~9月期のGDP(国内総生産)がマイナスになる可能性も指摘されています。

鉱工業生産や機械受注が軒並みマイナス
 経済産業省が2015年9月30日に発表した鉱工業生産指数は、前月比0.5%減と2カ月連続のマイナスとなりました。建設機械や自動車などが落ち込んでおり、中国景気失速の影響が顕在化してきたと考えられますが、必ずしもそれだけが原因ではありません。

 企業は需要の動向を見ながら生産を調整することで過剰な在庫を抱えないよう工夫しています。在庫が増える時というのは、とにかく景気がいいので売り切れにならないよう積極的に在庫を増やしているか、思った程製品が売れずに結果的に在庫を抱えてしまっているのかのどちらかです。

 今年に入ってから企業の在庫水準は着実に上昇しているのですが、好景気で積極的に在庫を増やしているとは思えません。ある程度の需要が継続すると見込んで一定の生産を継続していたものの、思った程商品が売れず在庫が積み上がったしまったというのが正直なところでしょう。そうなってくると、このところの生産指数の低下は、中国ショックによる一時的なものではない可能性が高くなってきます。

 鉱工業生産指数が低迷していることから、市場では7~9月期のGDPが4~6月期に続いてマイナスになるとの見方が強くなっています。鉱工業生産指数は実質GDPとの相関性が高いことで知られています。GDPがマイナス成長となった4~6月期の鉱工業生産指数はやはりマイナスでした。

 9月の見込みは0.1%増となっていますが、7~9月期を平均すると、前四半期との比較でマイナス1.1%と計算されます。あくまで鉱工業生産指数から見た場合ですが、7~9月期のGDPがマイナスとなる可能性は高いということになります。

 これに加えて設備投資の状況もよくありません。内閣府が発表した8月の機械受注統計は、主要指標である 「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)が前月比5.7%減と予想外の大幅な落ち込みとなりました。6月、7月に続いく3カ月連続のマイナスでから、企業の設備投資が急激に縮小していると考えてよいでしょう。
 9月が想定外のプラスに転じない限りは、7~9月期の設備投資もマイナスとなってしまう可能性が高くなってきたわけです。

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追加緩和を求める声が高まってくるが・・・・
 これらの指標はすべて供給側から見たものですが、モノやサービスの取引は需要があってはじめて成立します。日本国内の消費が堅調であれば、最終的にはそれほどの落ち込みにならずに済むかもしれません。

 しかし、頼みの綱の消費もやはり堅調というわけではありません。物価の上昇に賃金上昇が追い付いておらず、家計の負担が大きくなっているからです。

 7月の家計調査では1世帯(2人以上)当たりの消費支出が28万471円となっており、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.2%減となりました。マイナスは2カ月連続ですから、消費者の財布の紐は確実に固くなっているようです。
 8月はプラス2.9%と伸びているのですが、猛暑の影響による一時的な伸びとの見方もあります。9月の消費支出が引き続き好調であれば話は変わりますが、そうでない場合には、消費が全体を牽引するという状況にはならないでしょう。

 もし7~9月期のGDPがマイナスということになった場合、2四半期連続のマイナス成長ですから、市場では景気後退というキーワードが意識され始めます。さらに悪いことに、このところの株価下落で、7~9月期の公的年金の運用がマイナスに転じる可能性が高くなってきました。年金財政に対する不安が高まってくると、消費者の心理が悪化し、さらに支出を抑制するという、負の連鎖が発生するリスクもあります。

 日銀に対して追加緩和を求める声が出てくるのは必至と思われますが、日銀としては非常に難しい選択を迫られるでしょう。8月の消費者物価指数はマイナスに転じており、2%の物価目標を実現するという日銀の量的緩和策は、見直しが迫られている状況です。このような環境で追加緩和に踏み切っても、以前のようなサプライズ効果は得られない可能性が高いからです。

 一方、財政難という状況から、大型の公共工事を実施できる状況でもありません。仮に追加緩和に踏み切るにしても、従来ほどの効果がないことが分かっている中での決断とならざるを得ないかもしれません。

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