経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

  1. 投資

銀行によって外貨預金のサービスはだいぶ違う

知っているようで知らない外貨投資の話 第7回

 これまで外貨預金の為替レートについて概要を説明してきましたが、実際に日本円を外貨に替える場合には、もう少し細かいルールを知っておく必要があります。特に重要なのがレートが公表される時間帯です。

[box class=”blue_box” title=”問1″]外貨預金の為替レートは、銀行ごとに1日1回公表されるレートが用いられる。

(答え ×)[/box]

 外貨預金の為替レートは、一般的には1日1回、朝10時頃の更新ですが、午前と午後に更新される銀行もありますし、リアルタイムレートで取引できる銀行もあります。つまり、取引する銀行によって、レートが公表される時間はバラバラなわけです。

 為替は刻々と動いていますから、どの時間帯のレートが適用されるのかは重要な情報といってよいでしょう。したがって問1の答えは×ということになります。

[box class=”blue_box” title=”問2″]インターネットで外貨預金ができる銀行でなら24時間市場に連動したレートで取引できる。

(答え ×)[/box]

 ネットバンキングの外貨預金であればどの銀行でも、リアルタイムのレートで取引できるイメージがありますが、実際はそうでもありません。

 確かにネット専業の銀行や、ネットバンキングの一部ではリアルタイムレートでの取引が可能です。しかし、その他の銀行の多くは、たとえネットバンキングであっても1日に1回~数回程度の更新しかありません。したがって問2の答えは×になります。

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リアルタイムレートのメリット

 リアルタイムレートでの取引のメリットには、市場レートに近いレートで取引できること、深夜・早朝など時間帯に関わらず取引できること、注文時にレートが分かること、などがあります。

 為替相場は刻々と動いていますから、1日1回(~数回)公表されるレートと注文したい時のレートには乖離があります。急激に相場が動いているときなどには、この乖離が大きくなりますが、リアルタイムレートであれば、その時の相場に近いレートで注文できるので安心です。

 また、昼間は仕事で忙しいなどの理由から、深夜や早朝に注文を出すことも多いかもしれません。リアルタイムレートでの注文が可能な銀行であれば、市場が休場でない限り、時間帯にかかわらずその時のレートで注文することができます。

 これは付随的なメリットですが、リアルタイムレートでの外貨預金の為替手数料は通常の銀行の外貨預金よりも大幅に安いという傾向があります。ドル円であれば1ドル1円という手数料が一般的ですが、リアルタイムレートの場合、銀行によってはその10分の1以下(5銭、10銭など)というところもあります。

 リアルタイムレートでの外貨預金は、時間帯に関わらず相場の変化に対応可能で、注文時に為替レートという“コスト”もその場で把握でき、さらには為替手数料も安いという、トリプル・メリットを享受することが可能です。

 ただし、リアルタイムレートといっても前述のように休場のときや銀行のメンテナンス時間など、対応していない時間帯もあります。当たり前ですが、1日1回公表されたレートのほうが、注文時点でのレートよりも条件がよいこともありますから、リアルタイムレートが必ずしも得というわけではありません。

 また、外貨預金は、FX取引のように短期間の相場の変動で利益を出すという商品ではなく、為替レートの有利さだけに気を取られてしまうと本末転倒な結果となります。他の要素についても総合的に判断した上で、取引銀行を選択するのがよいでしょう。

知っているようで知らない外貨投資の話:もくじ

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