経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

  1. 投資教室

PBRが1倍以下の超割安銘柄を探す時の注意点

加谷珪一の投資教室 第16回

 PBR(株価純資産倍率)は、たいていの場合、極めて割安に放置されている銘柄を探し出す目的で使われます。

 株式市場には、PBRが1倍を割っている銘柄というものが存在しています。これは、市場で評価されている時価総額よりも、会社が保有している資産額が大きいことを示しています。
 つまり、会社を今すぐに解散して財産を株主に分与すれば、投資した以上の金額が返ってくるわけです。実際の資産価値以下の評価しか得ていないということであり、理論的にはこうしたことは起こりにくいとされています。

 しかし、現実にPBRが1倍を以下という銘柄は存在しています。なぜ1倍以下になっているのかという理由次第では、非常に有望な銘柄である可能性もあります。もし、その企業が投資家からあまり知られていないという理由で株が買われていないのだとすると、本来の企業価値はもっと高いのかもしれません。

 こうした銘柄を事前に仕込んでおけば、市場から本当に評価を得た時には、株価は一気に上昇し、かなりのキャピタルゲインを得ることができます。

 しかしながら、超割安株投資を現実に行うのはなかなか大変です。

 PBRが低い銘柄の中には、たまたま投資家から注目されず低い評価になっている銘柄もありますが、本当に評価が低いというケースも少なくありません。事業が不調で、極めて利益率が低く、投資家が将来の利益成長を期待していないような銘柄の場合、ほとんど買いが入らず、場合によってはPBRも1倍以下になってしまいます。




 つまり、市場はその会社は継続しても意味がないと判定していることになりますから、このような会社に投資をしてもうまくいきません。これは割安なのではなく、評価に値しない会社ということであり、いくらPBRが低くても投資することはできません。

 もうひとつの理由は出来高です。こうした低PBRの銘柄は、投資家があまり注目していませんから、出来高がとても小さいというケースが多くなっています。

 10万円、20万円というお小遣い程度の投資であれば問題ありませんが、金額が大きくなってくると、一度に購入できず手数料が極めて高額になってしまいます。また、自分自身の買いによって株価が上昇してしまいますから、買値をコントロールすることもできません。

 逆も同じです。もし銘柄を買った後、売却しようと思っても、出来高が低い銘柄の場合、なかなか売れません。無理に売ると、自身の売りで株価が暴落してしまい、大きな損失につながります。

 割安株投資を成功させるためには、じっくりと時間をかけて小分けで投資を行い、途中で換金することなく、株価が上昇するまで、長期間我慢しなければなりません。割安株投資は経験豊富な投資家向けの手法と思ってください。

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