お金持ちを科学する 第26回
ビジネスや投資、人間関係ではしばしば二項対立が発生することがあります。ここをうまく乗り切ることができるのかどうかで、その人が得られるリターンは大きく変わってきます。
あえて二項対立にすることに意味がある
よくある二項対立としては、ビジネスはお金儲けのために行うのか、社会的意義ややりがいを求めて行うのか、友好関係なのか敵対関係なのか、進出なのか徹底なのか、といったものがあります。
二項対立を乗り切るのは精神的にキツいですが、物事を極端に分けることで、双方の本質がよく見えてくるというメリットもあります。これは合理的な意思決定を行うにあたって非常に重要なことといってよいでしょう。
ところが世の中には、二項対立による解釈や分類を、「極論だ!」などと言って感情的に嫌う人が多いのです。
そのような人は、例えば「お金のためか、やりがいのためか」といったテーマでは「そもそも、お金かやりがいかで分類すること自体がよくない。そこで迷うのが人間だ」などといって、第三の軸を持ち出してきてしまいます。
第三の軸を持ち出してくると、それまでの論理的な対立軸が無効となってしまうので、永久に解決策を考え出すことができません。これは意思決定において致命的といえます。
世の中の事象は複雑ですから、現実には二項対立で簡単に割り切れるものではありません。そんなことは百も承知です。しかしながら、同じ折衷案であっても、両極端な考え方から妥協を重ね、折り合いをつけたものと、もともと曖昧な中で何となく出た結論とでは、本質的な意味が違ってくるのです。
「そうは言っても」は禁句
第三の軸を持ち出すという行為は、結局、逃げでしかありません。だからこそ、あえて物事を単純化し二項対立で分析することに意味があるのです。
二項対立で結論を得るコツは、何を基準にするのかを明確にすることです。金銭的なメリットなのか、自分のポリシーなのか、相手との関係なのか、基準値をどこにおくのかで、妥協できる範囲や順番は変わってきます。この作業を行うことが極めて重要となります。
投資する・しない、会社を辞める・辞めない、付き合う・付き合わないなど、お金に限らず仕事や友人関係など様々な部分でこうした局面に遭遇しているはずです。
お金持ちになれるのかどうかは、結局のところ、決められるか、決められないかという能力にかかっています。「そうは言っても」というのが口癖の人は十分に注意した方がよいでしょう。