経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

  1. ビジネス

コンビニのフランチャイズ(FC)契約はどうなっているのか?

コンビニ経済学 第3回

 前回のコンビニ経済学ではフランチャイズ(FC)制度について解説しました。大手コンビニは、FC制度を採用しており、本部として事業を運営している企業と、実際の店舗は別組織です。したがってコンビニ企業の業績と、各店舗の業績は一致しません。

フランチャイズ契約はどちらが資金を出すのかで内容が変ってくる

 例えば、2017年2月期におけるセブン&アイ・ホールディングスの売上高は6兆378億円となっており、このうち国内コンビニ事業によるものは9286億円でした。しかし、この数字はコンビニ各店の売上高ではありません。
 セブン-イレブン各店における売上高の合計は4兆6780億円とセブン&アイ・ホールディングスの売上高を大きく上回っています(2018年2月期の業績については「セブン&アイ・ホールディングスが好決算。米国のコンビニ買収が寄与」を参考にしてください。

 加盟店はこの中から本部であるセブン&アイ・ホールディングスに契約に基づいてロイヤリティなどを支払っており、これがセブンの売上高に反映されます。

 加盟店と本部の契約内容は、店舗の開設に必要な土地や建物をどちらの負担で用意するのかで変わってきます。オーナー側が用意するパターン(もともと酒屋など自らの土地で小売店を経営していたオーナーはこの形態を選択することが多い)では本部への支払いが少なくなり、逆に多くを本部側が提供するケースでは、本部への支払いが多くなります。

 セブンの場合、オーナー側が用意するケースでは、売上総利益(粗利益)の43%をセブンに支払うことになります。例えば、1000円の商品を700円で仕入れて300円の粗利益を得たとしましょう。ロイヤリティはここにかかってくるので、この場合には300円の43%、つまり129円をセブン側に支払う必要が出てきます(セブンは2017年4月にロイヤリティの減額を表明しています)。

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資金負担をしないケースでは、ロイヤリティが高額になることも

 脱サラした人がコンビニの加盟店になるというケースでは、土地や建物を自分で用意できないことも少なくありません。この場合には、本部が資金の多くを負担してくれますが、ロイヤリティの割合は上がってくることになります。もっとも負担が多いケースでは、粗利益の70%以上を本部に支払う契約もあったと報道されています。

 一連のロイヤリティは一般的に考えるとかなり高額といってよいかもしれません。

 例えば、1日の売上高が50万円だとすると、1カ月の売上高は約1500万円になります。仕入原価を70%と仮定すれば、1カ月の粗利益は450万円です。ここに70%のロイヤリティが課せられしまうと加盟店オーナーが得られる利益は135万円にしかなりません。

 加盟店オーナーはここから自身の給料やアルバイト店員の給料、その他経費などを支払うことになるので、場合によっては利益がほとんど残らないこともあるわけです(光熱費の一部を本部が負担するという制度を持つコンビニもあります)。

 加盟店から巨額のロイヤリティを徴収するのでコンビニ各社は大きな利益を上げることが可能となるわけですが、一部からは加盟店に対する条件が厳し過ぎるという意見も聞かれます。

 確かに粗利益の半分以上を徴収するというのは、かなり厳しい条件ではありますが、一方で本部は加盟店がスムーズに経営できるようあらゆる支援を行っています。商品開発も基本的に本部の仕事ですから、本部の運営には相応のコストが必要であり、加盟店からのロイヤリティはその原資となっているわけです。

コンビニ経済学もくじ

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