日本の公的年金は海外と比較してどの程度なのか?

 昨年は年金2000万円問題が取り沙汰されるなど、年金の持続可能性について激しい議論となりました。日本の年金財政が危機的な状況であるのは事実ですが、諸外国と比較して、日本の年金はどの程度の位置付けなのでしょうか。

日本の公的年金は国際比較では最低ランク

 コンサルティング会社マーサーが発表した「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」によると、日本の公的年金制度は、最低ランクのDに分類されており、全体の順位としては37カ国中31位でした。

 この調査は「年金が十分に支払われているか」「年金制度に持続性があるか」「制度が誠実に運用されているか」という3つの項目で評価が行われています。日本の年金制度はこの3つについていずれも点数が低いのですが、特に低かったのが持続性の項目でした。

 日本は諸外国と比較して、人口減少や高齢化が進んでおり、年金財政には大きな逆風が吹いていますが、これに加えて日本の場合には過大な政府債務という大きな問題があります。日本と同様、各国の年金制度にも税金による補填があるのですが、日本の政府債務は世界でも突出して高い水準にありますから、これは大きなマイナス要因となります。

 また、日本の年金は所得代替率(現役世代の年収と比較した年金の額)が極めて低く34.6%しかありません。

 政府は現時点における所得代替率は61.7%と説明しているのですが、専業主婦世帯を想定していることや、現役世代の収入と年金収入で異なる基準を適用するなど、諸外国とは定義が異なっています。政府が用いている所得代替率には多くの問題があり、OECDの調査における所得代替率の方が現実に近いと思ったほうがよいでしょう。

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経済成長抜きに年金財政を好転させることは難しい

 では所得代替率はどのような要因で決まるのでしょうか。ひとつは経済成長率、もうひとつは現役時代に払う年金保険料の額です。

 経済成長率が高ければ、現役世代の年収も伸びますから、保険料収入も相応に増えていきます。積立金の運用パフォーマンスも向上するので、年金財政は好転することになり、より多くの年金を支払えます。

 現役時代に支払う保険料の額も大きな要素です。現役時代にたくさん保険料を徴収する仕組みであれば、当然、年金財政はよくなりますから、高齢者の支払い額も多くできます。
 今回のランキングで最高ランクのAに分類されたのはオランダとデンマークですが、オランダやデンマークは、公的年金に加えて義務的な私的年金もあります。これが事実上の公的年金の一部を形成しており、所得代替率の向上につながっています。

 しかしながら、両国の国民が、高額の保険料支払いを受け入れている理由は、経済が好調で賃金が伸びているからなので、結局のところ経済力がすべてを左右すると考えてよいでしょう。

 日本経済がすぐに好転する可能性は低いですから、年金制度を維持していくためには、保険料の増額か年金給付の削減を進めていくしか方法がないというのが実状です。