日本の労働生産性が万年最下位である理由

 日本の労働生産性が諸外国に比べて低く、これが日本が豊かに感じられない原因のひとつであることは多くの人が知るところとなっています。しかし、日本の労働生産性の低さは今に始まったことではありません。50年前から日本の労働生産性は主要国で最下位であり、一度も上位に入ったことはないのです。

基本的に労働集約型ビジネスから脱却できていない

 2018年における日本の労働生産性(時間あたり)は46.8ドルで、主要先進国中最下位でした(OECD)。1位の米国は74.4ドル、2位のドイツは72.9ドルなので、米独の生産性は日本の1.5倍以上もあります。これだけではピンとこないと思いますので、生産性が1.5倍という話について、もっと具体的に説明してみましょう。

 日本企業の場合、1万ドルを稼ぐためには、平均29人の社員を動員し、7時間超の労働を行っていますが、米国企業は、労働時間は日本と同じ7時間ですが、社員数はわずか19人で済んでいます。ドイツは25人と社員数は米国より多い状況ですが、労働時間は1時間以上も少なく6時間弱です。

 つまり日本企業は、大人数で長時間労働しないと同じ金額を稼げていないということになります。つまり日本企業のビジネスは諸外国と比較すると付加価値が低く、労働集約的と言い換えることができます。労働集約的なビジネスをしていては豊かになれるはずがありませんから、日本人が豊かさを感じられないのは当然の結果といってよいでしょう。

 ここで重要なのは、日本の生産性は最近下がったのではなく、昔からずっと低いままだったという事実です。日本の生産性の低さは今に始まったことではないのです。

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本来であれば、90年代に経済構造を転換しておくべきだった

 図は1970年代からの各国の生産性を比較して順位付けした表です。日本の労働生産性が先進国中最下位なのはずっと同じで、日本の生産性がよくなったことは一度もありません。

 1970年といえば、日本の街中はまだ汚い所も多く、途上国としての雰囲気が色濃く残る時代でしたから、生産性が低く、社会が貧しいのも、やむを得なかったもしれません。しかし、80年代には生産性の伸びも大きくなり、欧米に近づくかに見えましたが、そこがピークとなり、再び、生産性は伸び悩んでいる状況です。

 本来であれば90年代以降、低付加価値ビジネスから脱却し、先進国型の経済に転換する必要がありましたが、現状維持を最優先してしまいました。今、多くの日本人が感じている貧しさは、すべてここから来ています。

 マクロ経済的には労働生産性と賃金には密接な関係があり、基本的に生産性が向上しないと賃金も上がりません。過去20年で日本の賃金は大幅に低下しましたが、生産性が伸びていない以上、賃金が上がらないのも当然の結果です。
 生産性が高い国は労働時間が短くなる傾向が顕著なので、日本において長時間残業が横行しているのも、生産性の低さが最大の原因といってよいでしょう。