経産省がクレカ手数料に上限設定を求めていることの是非

 来年10月の消費増税対策として政府はクレジットカード利用者にポイント還元する施策を検討しています。これに伴って経済産業省がカード業界に対し、加盟店から徴収する手数料に上限を設定するよう求めたことが波紋を呼んでいます。手数料の高さがカード普及の妨げになっているとの指摘ですが、実際のところどうなのでしょうか

日本の加盟店手数料は確かに高めだが・・・

 飲食店や小売店で、顧客がクレジットカードで買い物をすると、カード会社は加盟店に対して利用料の一定割合を手数料として徴収しますが、この手数料はカード会社にとって重要な収益源のひとつとなっています。

 手数料率は加盟店によって異なりますが、大手のネット通販事業者や量販店などは1%台、一般的な小売店は3%程度、取扱高が小さい場合には5%に達するケースがあります。さらに、スナックやクラブなど、いわゆる夜のお店になると10%近い高額の手数料を徴収することもあるようです。
 零細飲食店では最終的な利益が5%程度ということもザラですから、ここで数%の手数料を取られてしまうと、場合によっては利益が吹き飛んでしまいます。

 この手数料率は、米国などと比較すると高いといわれており、一部の小売店や飲食店は手数料の高さからカード対応していません。経産省では、日本でキャッシュレスが進まない原因のひとつに手数料の高さがあると考えており、今後のキャッシュレス化を推進するため、手数料に上限を設定したい意向です。

 日本における加盟店手数料が高いのは事実ですが、カード会社側にも言い分があります。

 日本の場合、カードの支払いで発生したトラブルはカード会社が責任を負うケースが多く、リスクヘッジのため加盟店の審査を厳しくせざるを得ない面があります。このため十分な数の加盟店を確保できず、手数料率も高めに推移してました。

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官は競争環境の整備という本来の役割に徹した方がよい

 もっとも最近ではQRコード決済など、安価な手数料で決済できる電子マネーも普及してきており、手数料の問題は解決しつつあります。手数料が高いという経産省の主張は間違っていませんが、今、手数料に上限を設定したところで、キャッシュレス化が一気に進むというわけでもありません。

 また、手数料の引き下げとカード利用者へのポイント還元策を組み合わせるという今回の施策は、現実問題としてかなりの無理があります。
 
 カード利用者へのポイント還元は、中小の小売店のみが対象となりますが、どの店舗が対象となるのかカード会社側は把握していません。中小認定を受けた事業者がカード会社側に申し出を行い、この事業者にのみポイントを付与するようシステムを改修するという形になりますが、これを1年で実施するのは至難の業でしょう。

 日本は中国や北朝鮮のような国ではありませんから、民間の活動に過度に政府が介入するのは基本的に望ましいことではありません。また旧通産省時代も含めて、日本の産業政策がうまく機能したケースはそれほど多くないのが現実です。

 官は競争環境の整備という本来の役割に徹し、あとは民間の競争にゆだねた方が、利用者にとっても利便性の高いサービスを実現できますし、キャッシュレスという最終目的もスムーズに達成できるはずです。