金利差の源泉となるのはインフレ期待とリスクプレアム

加谷珪一の金利教室 第10回

 前回は、長期金利と短期金利に差がある原因のひとつはインフレ期待であると説明しました。長短金利差のもうひとつの要因となっているのが、リスクプレミアムです。

時間が経過した分のリスクも加味する必要がある

 長期にわたって債券を保有していると、その間に市場環境が変わったり、金利が変動するリスクが高まってきます。また債券を発行している発行体の経営状況が変わることもあるでしょう。したがって長期に融資を行う投資家は、短期の投資家に比べて高いリスクを取っていると解釈することが可能です。

 もし、長期と短期で金利が同じ水準では長期の投資家が損をしてしまいます。市場ではそれを調整する動きが発生し、金利が変化することになります。長期金利が短期金利に比べて高いのは、リスク分が上乗せされているという考え方があり、これをリスク・プレミアムと呼びます。

 リスクプレミアムは必ずしも期間だけに生じるものではありません。例えば株式と債券の投資利回りには差がありますが、それは商品そのものが持つリスクの違いが反映されています。

 株主は会社の所有者ですから、その会社の経営について経済的な責任を負っています。したがって会社を整理して、資産を分配するという事態になった時でも、優先順位は最後の最後です。一方、債券はただお金を貸しているだけですから、非常時には株主よりも優先的に資金を返済してもらうことが可能です。

 株式の方が債券よりも高いリスクを取っていますから、株式投資の方が投資利回りが高くないと、株式に投資した投資家は損をしてしまいます。このため、株式と債券では、一般的に株式の方が投資利回りが高くなっています。株式の投資家はより大きなリスクを取った分、リターンも大きいわけですから、この部分をリスクプレミアムと呼びます。

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30年後を正確に予想するのは困難であると金利は語っている

 今回の話は同じ債券での比較ですから、商品そのものにリスクの差はなく、あくまでも時間による違いということになります。

 以上を総合すると、短期金利よりも長期金利の方が高いことの背景には、経済成長が続き物価が継続的に上がっていくというポジティブな予想と、長い期間の間には何が起こるか分からないというネガティブな予想が交錯しており、これが最終的に高い金利を形成していることが分かります。
 
 この基本的な感覚は投資全般において非常に重要となります。長期の投資は有利になる一方、不確実性を伴う行為であることについてよく理解しておいてください。

 ちなみに債券の利回りを見てみると、10年までは期間が長くなるにつれて大きく上昇しますが、20年、30年になると、思った程には上がりません。その理由は30年もの長期になると、予想することが極めて困難となるからです。

 市場は、30年後の将来を予測するというのはバカげた話であるということを物語っているのかもしれません。

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