ブログやSNSから情報を得る場合に注意すべきこと

加谷珪一の情報リテラシー基礎講座 第29回

 これまで存在していなかった新しい情報源といえば、ネット上に無数に存在する個人のブログやツイッターなどの各種SNSということになるでしょう。
 ブログやSNSの登場は、情報収集や分析に一種の革命をもたらしましたが、その特質をよく理解せずに情報を扱ってしまうと逆効果になることもあります。情報リテラシーが必要という点では、従来の情報源と何ら変わることはありません。

誰がその情報を発信しているのか

 ブログやSNSの最大の特徴は、言うまでもなく、誰でも情報の発信者になれることです。

 ブログで情報発信する人に制限はありませんから、そこで取り扱われる情報も、様々な形態が存在することになります。本コラムで解説した「情報のマトリックス」における、あらゆる部分に該当する可能性があるわけです。

 これまで筆者は、情報発信者の属性やその目的というものを十分に理解することが、情報活用の基本であると説明してきましたが、これは対象がブログやSNSであっても同じです。そうなってくると、こうした情報を取り扱う際には、その発信者がどのような属性なのかについて調べることが何よりも重要となります。

 著名人が発信している場合には、その人がどんな人なのかあらかじめ分かっていますが、そうではない場合、自身のプロフィールをあまり明かしていないケースがほとんどでしょう。そうなってくると、本人の意図や属性が把握しにくいですから、マスメディアや識者の情報と比べると取り扱いが難しくなります。

 ブログの情報が、情報分析の世界において、それほど重要視されていないのは、それが権威ある人のものではないからというよりも、こうした情報の属性の把握が難しいという点にあります。

 ではこうした個人が発信する情報には価値がないのでしょうか?そんなことはありません。ブログやSNSで提供される情報は宝の山であり、この情報をどう活用するのかでビジネスや投資の成果は大きく変わってくるといっても過言ではありません。

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基本的にはウラ取りに使うのが王道

 個人の情報発信がもっとも効果を発揮するのは、一次情報の入手についてです。ある大手企業が賞与の増額を行い、平均すると1割から2割程度、賞与が増えるという報道があったとします。しかしこれは全体の平均値ですから実際のところ、どの程度、増加するのかについてはイメージにしくというのが現実です。

 ここでツイッターなどで、給与明細を晒す人が出てくれば、平均値の数字と実際の数字の乖離がどの程度あるのかが把握できます。同じような情報が複数あれば、その昇給は間違いないという結論が得られるでしょう。給与明細という現物を提示していますから、発信者がどのような人なのか明かされていなくても、完全に虚偽である可能性は低くなります。

 これまでジャーナリストなどが直接、取材しなければ得ることができなかった1次情報をストレートに入手できるところが、ブログやSNSの最大の特徴です。これを活用できれば情報リテラシーは飛躍的に高まるでしょう。

 このコラムの読者の方なら、すでにお分かりだと思いますが、ブログやSNSの注意点もまさにこの部分となります。

 得られる情報は基本的に1次情報ですから、それが全体を表わしているとは限りません。情報は「大から小」が基本ですから、大きな情報のウラ取りとしてブログやSNSを活用するというのが本筋です。ブログやSNSの情報から逆に全体像を把握する場合にはより慎重な対処が必要となります。

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