生活保護の財政負担はどのくらい?

 以前の記事では、生活保護への支出が年間約4兆円になっているという話をしました。今回は、生活保護など社会保障への支出が、日本の財政の中でどのくらいの負担になっているのかについて解説します。

日本の国家予算でもっとも大きな割合を占めるのが年金と医療

 日本の国家予算には一般会計と特別会計があります。特別会計は年金など独自の財源を持っているものや、国債の管理に用いられるものなど多岐にわたっていますから、通常は、一般会計の話が中心となります。

 日本の国家予算は100兆円などと言われますが、これは一般会計のことを指しています。2つの会計が分かれていることで財政状況が分かりにくくなっているという指摘もありますが、とりあえずは一般会計の数字を把握しておけばよいでしょう。

 2018年度予算(一般会計)の総額は97兆7128億円となっており、このうちもっとも大きな割合を占めるのが社会保障費で、金額にすると約33兆円、割合では33.7%となっています。次に多いのが地方交付税交付金で金額は約15兆5000億円、割合では15.9%となっています。

 両者を足し合わせると約50%になりますから、社会保障費と地方自治体への支援で予算の半分を使っていることになります。

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年金と医療の支出が財政を圧迫している

 社会保障費は予算の最大支出項目であり、日本の財政が厳しい状態にあるのも、基本的には社会保障費が増大しているからです。
 社会保障費の内訳を見ると、年金給付費が11兆6800億円、医療給付費が11兆6000億円となっており、これで全体の7割を占めています。生活保護の4兆円や介護費用の3兆円などは、年金と医療の残りから支出されます。

 年金や医療は、本来、国民が納める保険料の中から賄うべきものですが、それだけでは金額が足りません。このため税金から補助する形になっており、一般会計での費用は国庫負担分となります。実際に保険料や年金として給付している額はもっと大きいのですが、こちらは特別会計などで管理されています。

 生活保護の4兆円は社会保障費全体から見ると、割合は低く、それほど大きな負担とはいえません。しかし、高齢化の進展で、年金と医療の支出が拡大するのは確実であり、これが財政の大きな負担となっています。こうした中で、生活保護の費用をこれ以上、増やすのは困難な状況となっています。

 生活保護を必要としている人に対して2割しか給付が行われていないのは、制度的な不備もありますが、財政難で現実問題として支出できないという側面もあるわけです。

 全体として見た場合、医療と年金の負担が極めて大きく、生活保護はそれほど大きな負担とはなっていません(それは日本の生活保護が国際的に見て貧弱なことの裏返しでもありますが)。しかし、医療と年金はさらに支出が増大する可能性があるため、生活保護にもお金が回せないという状況です。政府が生活保護の抑制を進めているのはこうした理由からです。