経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

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実際のところ年金はいくらもらえる?

加谷珪一の年金教室 第2回

 日本の公的年金は、原則として全員が加入する国民年金と、企業に勤めるサラリーマンが加入する厚生年金の2種類があります。厚生年金に加入している人は、国民年金と厚生年金の両方を受け取ることができます。

国民年金は定額を支払い、定額をもらう

 国民年金と厚生年金では、支払い金額や受取金額の算定方法が大きく異なっています。

 国民年金は年間の給付額が一律に固定されています。毎年の給付額は、物価水準などを考慮して改定されますが、現時点では年間約78万円となっており、月額にすると約6万5000円になります。

 もっとも、この金額は20歳から60歳までの40年間の全期間、保険料を納めたことが条件です。未納の期間が長かった場合には、その分だけ減額されていくので注意が必要です。また、年金の受給資格を得るためには10年以上の納付期間が必要となります。

 国民年金の場合、現役時代に支払う保険料についても金額が固定されており、現時点では年間約20万円となっています。国民年金は非常にシンプルで、毎年一定額を支払い、一定額を受け取る形になります。

 ただし、年金の絶対額が年間78万円と安いため、国民年金だけで生活するのはちょっと厳しいでしょう。足りない分については、資産運用などで補っていく必要があります。今後、年金の給付額が下がる可能性も考えると、国民年金だけの人は、生涯労働を前提に人生設計を行った方がよいと筆者は考えます(自営業者には定年はないので、その分、柔軟に対処可能です)。

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厚生年金の給付額は現役時代の年収で変わってくる

 一方、厚生年金は現役時代にいくらの収入があったのかで給付額が変わってくる仕組みです。

 給付額の算定基準となる年収の定義が2003年から変更になるなど、正確な金額を算出するのは少々面倒ですが、例えば、現役時代の平均年収(すべての期間の平均値)がおおよそ600万円だった場合には、厚生年金の給付額は年間約138万円となります。月額にすると約11万5000円です。

 サラリーマンの人は、厚生年金と国民年金の両方がもらえますから、このパターンでは、国民年金の78万円と厚生年金の138万円を足した216万円が年金収入となります。
 厚生年金が加わる分、年金額も多くなりますが、その分、現役時代に払った保険料も多いですから、条件はあまり変わりません。

 ただ厚生年金の場合には、保険料の半分を会社が負担してくれますから、その点においてサラリーマンは圧倒的に有利といってよいでしょう。保険料の半分を会社が負担してくれるというのは、かなり手厚い支援です。日本のサラリーマンは制度によって守られた存在と言い換えることもできます。

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