表示される為替レートに幅があるのはなぜ?

知っているようで知らない外貨投資の話 第4回

 前回は、メディアなどで伝えられる為替レートは、金融機関同士で取引をしている市場(インターバンク市場)のレートであり、私たちが銀行で交換するレートとは異なるという話をしました。
 こうした為替レートが表示される時には「1ドル105円30銭-105円60銭」など幅があるのですが、これはどういう意味なのでしょうか。

問1
為替レートの「1ドル105円30銭-105円60銭」という表示は、現在、105円30銭で売ることができ、105円60銭で買うことができるという意味だ

(答え 〇)

 この「1ドル105円30銭-105円60銭」という表記は、1ドル105円30銭から105円60銭の間で取引されている状態を指すのだろうと思う人多いかもしれませんが、そうではありません。

 売り手は105円60銭で売りたい、買い手は105円30銭で買いたい、ということを表しています。つまり売り手・買い手の提示額を意味しているわけです。したがって問1の答えは〇です。

問2
銀行で提示している為替レートにTTS、TTM、TTBという種類があるが、私たち顧客が円をドルに替えてもらうときのレートはTTMである。

(答え ×)

 私たちが銀行で外貨に交換する(またはその逆)際のレートをよく見てみると、TTS、TTM、TTBと書かれており、複数のレートがあるように思えます。しかし実際はそうではありません。

 顧客が銀行などで円をドルに替えてもらうときのレートがTTS、その逆でドルを円に換えてもらうときのレートがTTBと表記されます。したがって問2の答えは×です。なぜ同じ取引に3種類のレートが存在するのかについては以下で説明します。

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TTS・TTBの差が大きいということは手数料が高いということ

 銀行が顧客と外貨を取引するときの手数料は銀行によって異なり、店舗・ネットの違いなどによっても変わってきます。したがって、私たち個人が銀行で外貨に交換するときのレートも様々となりますが、その違いはTTM、TTS、TTBに端的に表れています。

 まず、銀行などの各金融機関は前述のインターバンク市場のレートを元に、対顧客向けレートの基準となるレートを決めます。これがTTM(仲値)です。そしてこの仲値に手数料を加えたレートがTTS、手数料分を引いたレートがTTBとなります。

 もう少し具体的にいうと各金融機関は、毎日午前9時55分のレートを元に対顧客レートを決定し、午前10時ごろに公表します。

 銀行が顧客に外貨を売る(Sell)ときは高く売りたいわけですから、TTM(仲値)に手数料を加えて顧客に売ります。この「銀行が売りたいレート」がTTS、つまりSはSellのSということです。私たち顧客はこのレートで外貨を買う(円を外貨に換える)ことになります。

 逆に銀行が買う(Buy)ときは安く買いたいわけですから、TTM(仲値)から手数料分を引いて顧客から買います。この「銀行が買いたいレート」がTTB、つまりBはBuyのBということです。私たち顧客はこのレートで外貨を売る(円に戻す)ことになります。

 たとえば仲値が1ドル100円で手数料が1円であればTTSは101円、TTBは99円となります。買う時の手数料と売る時の手数料は同額ですので、仲値の表示がなかったとしても、(TTS -TTB)÷ 2という計算でその銀行の手数料がわかります。

 A銀行のTTSが101円、TTBが99円となっていたら、(101円-99円)÷ 2で手数料は1円、B銀行はTTSが101円、TTBが98円であれば、(102円-98円)÷ 2で手数料は1円50銭となり、B銀行のほうが手数料が高いということになるわけです。

 TTSとTTBに2円の差があった場合、手数料は1円、つまり1%ということになります。これが100万円の取引であれば、1万円も手数料が取られるという意味です。
 TTS、TTBと表記されてしまうと、手数料が見えにくくなってしまうのですが、現実にはかなりの金額が徴収されています。私たちはこの点についてしっかり理解しておく必要があるでしょう。

 TTS ・TTM・TTBをまとめると以下のようになります。

TTM:Telegraphic Transfer Middle(Rate)電信仲値。顧客との取引で基準になるレート
TTS:Telegraphic Transfer Selling(Rate)電信売相場。銀行が外貨を売るときのレート
TTB:Telegraphic Transfer Buying(Rate)電信買相場。銀行が外貨を買うときのレート