知っているようで知らない外貨投資の話 第3回
為替レートというと、メディアで報道される「東京外国為替市場の円相場は1ドル〇〇円」という内容をイメージする人が多いと思います。
果たしてこの為替レートは、銀行の外貨預金や、海外旅行の際に外貨に両替するときのレートと同じものなのでしょうか?
[box class=”blue_box” title=”問1″]メディアで報道される円相場というのは、銀行間市場のレートのことを指している。
(答え 〇)[/box]
為替市場というのは、取引所のような場所を指すのではなく、為替の取引をしている参加者の集まりに過ぎないということを前回解説しました(第1回参照)。
この参加者の集まりとしての市場は、大きく2つに分けることができます。ひとつは「銀行間市場(インターバンク市場)」、もうひとつが「対顧客市場」です。
インターバンク市場は、銀行や一部証券会社、ブローカーなどの金融機関同士が取引をしている市場のことでを指します。一般的に、外国為替市場の円相場と言う時には、この市場でのレートを指します。つまり問1の答えは〇です。
一方で対顧客市場とは、銀行が個人や一般企業と取引を行う市場のことです。外貨預金や外国為替証拠金取引(FX)では個人が金融機関と取引しているわけですが、ここでのレートはどうなっているでしょうか。
[box class=”blue_box” title=”問2″]外貨預金や外国為替証拠金取引(FX)のレートは、インターバンク市場で決まるレートに準じて決められている
(答え 〇)[/box]
個人や一般企業は、外貨預金やFX取引などを行う際に、銀行やFX会社で外貨に換えてもらうわけですが(対顧客市場)、銀行は、インターバンク市場のレートを元にレートを決め、手数料を上乗せして顧客に取引レートを提示します。したがって、問2の答えは〇ということになります。
為替レートにも卸値と小売値のようなものがある
「為替市場は2つに分かれており、銀行間市場(インターバンク市場)と対顧客市場がある」という言い方をすると少し難しく聞こえますが、これは簡単に言えば、銀行などの金融機関がインターバンク市場から外貨を仕入れて、個人などの顧客に外貨を売っている(またはその逆)ということです。
銀行がインターバンク市場から外貨を調達するときの価格が「卸売価格」、銀行はそこに利益を上乗せして顧客に売っているわけですから、対顧客市場の価格が「小売価格」というわけです。
銀行の為替レートを見てみると、銀行ごとに微妙に値が異なりますが、これは調達レートが違っているからと考えればよいでしょう。
そして顧客に売る(顧客から買う)ときの手数料も銀行によってバラバラですし、店舗・ネットの違いなどによっても変わってきます。結果として、私たち個人が銀行で外貨に交換するときのレートも様々、ということになるのです。