過去最高益となったトヨタ自動車。今後の焦点は長期戦略へ

 トヨタ自動車が過去最高益となりました。徹底したコスト削減策と円安が功を奏した形です。市場予想を上回る好決算だったことで、市場には安心感が広がっていますが、EV化や自動運転対応など長期的な課題は山積しています。

為替が主要因だが、コスト削減効果も大きい

 トヨタ自動車の2018年3月期決算は、売上高が前年比6.5%増の29兆3795億円、営業利益が前年比20.3%増の2兆3998億円、当期純利益は前年比36.2%増の2兆4939億円でした。売上高、純利益とも過去最高を更新しています。

 増収増益となった最大の理由は円安です。2017年3月期における平均為替レートは108円でしたが、2018年3月期については111円と、想定よりも大幅な円安となりました。全体の販売台数のうち約75%が海外向けですから、為替が円安にシフトすれば、その分だけ見かけ上の売上高と利益が増加することになります。

 一方、生産については国内が約50%となっており、車両や部品を輸出するケースがありますから、円安による輸出価格の上昇も業績を後押しします。

 もっとも今回の好業績は為替だけが原因ではありません。同社は為替に左右されない体質を目指し、コスト削減策を進めてきましたが、今回の決算では1600億円程度の削減に成功しています。トヨタの徹底的なコスト管理は昔から有名ですが、ここからさらにコストを絞れるのはトヨタならではといってよいでしょう。

 今期の業績については減収減益を見込んでいますが、その理由は想定為替レートを105円と厳しく見積もっているからです。今のレートが続けば、今期も増収増益となる可能性は十分にあるでしょう。投資家にとっては、為替レートをどう見るのかが重要なポイントなりそうです。

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ハイブリッド車は中国市場では売れない

 もっとも長期的な部分に目を移すと、不安要素も見え隠れします。グループ全体の販売台数は1044万台と過去最高となりましたが、業績に反映される連結販売台数は896万台と前年比で微減となりました。

 また主戦場である北米については販売台数が伸び悩むとともに、部門利益も大幅に減っています。販売奨励金が利益を圧迫する構図ですが、北米市場はそろそろ飽和しているとも言われており、今後は大きな伸びが期待できないかもしれません。

 そうなってくると注目が集まるのは中国市場ということになりますが、トヨタは中国市場をあまり得意としていません。中国は政策上、完全にエコカーにシフトしているものの、トヨタが得意とするハイブリッド車はエコカーの対象になっていないからです。

 このためトヨタは、日産やホンダと同様、EV(電気自動車)で中国市場を攻略する必要がありますが、この分野は競合他社との差別化が難しく、高い利益率を確保するのは至難の業です。トヨタが今後も利益成長を続けるためには、中国市場に対する明確な戦略が必要となるでしょう。

 トヨタは、国内では圧倒的な業界のリーダーですが、グローバルに見た場合、自動運転などの最新技術に関して必ずしもトップを走っているわけではありません。EVシフトやクルマのIT化時代にどのように対応していくのか、さらに具体的なロードマップを提示していく必要があると考えられます。