森友問題で大ピンチ。なぜ財務省は最強官庁と呼ばれてきたのか?(前編)

 「森友学園」への国有地売却問題で、財務省が決済に関する文書を書き換えていたことを認めました。公文書の改ざんというのは重大問題であり、財務省は極めて厳しい立場に置かれることになります。

 財務省は「官庁の中の官庁」「最強の官庁」などと呼ばれてきましたが、財務省とはどのような役所なのでしょうか。また、なぜそれほど大きな力を持っているのでしょうか。

政府の財布をすべて握っているのが財務省

 財務省の役割は、財務省設置法に記されている通り「健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保並びに造幣事業及び印刷事業の健全な運営を図る」ことです。

 もっと分かりやすい言葉で言えば、税金を徴収して、政府の予算を策定し、国の財産や為替の管理を行う役所ということになります。要するに政府のお財布をすべて握っているのが財務省というわけです。

 財務省の中でも中枢とされる部署が予算を策定する主計局です。

 主計局は、財務省の中でも特別な存在となっており、事務方のトップである事務次官は多くの場合、主計局長から昇進します。主計局は予算査定において他の府省に影響力を行使できる立場にあり、霞ヶ関の中で絶大なパワーを持っています。

 あまり褒められたことではありませんが、各省の予算の中には、政治家が自分の選挙区にメリットがあるよう、利益誘導を目的に策定されたものも少なくありません。

 財務省の査定ひとつで、こうした予算が付いたり付かなかったりするわけですから、予算を通じて財務省は永田町全体にも影響力を行使できます。つまり財務大臣を中心に財務省の幹部となった政治家は、極めて大きなパワーを持つことになるわけです。

 このほか財務省には、税制を策定する主税局、関税に関する職務を行う関税局、国有財産や国債を管理する理財局、為替などの国際業務を行う国際局といった部署があります。また外局として国税庁があり、税の徴収を一手に担っています。

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税制や国有財産などを通じても影響力を行使できる

 森友学園への国有地売却問題で国税庁の佐川宣寿長官が辞任しましたが、佐川氏は売却が行われた当時、理財局長でした。財務省は国有財産を管理する権限も持っていますから、それだけでも政財界に対する影響は絶大といってよいでしょう。

 また、日本の大企業は、様々な税制の特例措置を受けており、こうした細かい税制がひとつ変わるだけで企業の利益は大きな影響を受けます。間接的ですが、税制を通じても財務省は影響力を行使できるわけです。

 こうした強大なパワーを政治家が見逃すはずがありません。本来、役所の権限というのは、国民から選ばれた政治家が、国民の利益のために適切に行使すべきものですが、中にはこれを自らの権力闘争に利用しようという人も出てきます。

 森友問題では、政治家の圧力を「忖度」したかどうかが話題となっていますが、最強の官庁である財務省は、常に政治家からの要求を受ける立場であり、逆にそこをうまくコントロールすることで、官僚組織としての地位を確保してきました(参考記事:財務省の人事から何が読み取れるか)。今回はそれがうまく機能しなかったわけです。

 次回は、安倍政権において、官庁のパワーバランスがどう変化したのか、また、政治を理解する上で官庁の権益争いが重要なカギを握っていることなどについて解説します。