経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

  1. 投資

「お金は歴史で儲けなさい」の文庫版が発売されました

 2015年1月に出版した「お金は歴史で儲けなさい」の文庫版が発売開始となりました(Amazonはこちら)。文庫化されるということは、より長く読者の方に読んでいただけることを意味していますから、著者としても非常に嬉しいことです。

 「歴史は繰り返す」という言葉を耳にしたことある人は多いと思いますが、人間の営みというのは、時代が変わっても大きくは変化しないものです。表面的には違っているように見えても、詳しく分析すると、本質的には同じ動きをしているというケースがよくあるのです。

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 投資の世界もまったく同じで、今の市場の動きと歴史を比較すると「あの時代と同じだ!」という状況を見つけ出すことができます。筆者は、本書の冒頭で以下の文章を提示しているのですが、これはいつの時代の話だと感じるでしょうか?

日本経済はバブル崩壊後、長期のデフレに直面し、銀行の不良債権問題がヤマ場を迎えた頃、株価指数はピーク時の4分の1近くの水準まで下落した。不幸なことに大震災が重なっていたこともあり、日本経済は想像以上に疲弊していたのである。その後、日銀が国債を引き受け、市場に大量にマネーを供給する政策に転換したことから、日本経済は復活。株価も順調に上昇を開始した。だが次第にインフレ(物価上昇)の影響が強くなり、庶民の生活は思いのほか苦しくなってきている。

 多くの人は、 「バブル崩壊以後、長期のデフレに悩まされ、東日本大震災を経て、量的緩和策の実施に踏み切った今の日本のことを説明している」と思われるかもしれませんが、この記述は、そのまま戦前の日本(大正末期から昭和初期にかけて)にも当てはめることができます。

 筆者は長期の株式投資でそれなりの成功を収めることができましたが、最大の理由は常に歴史の視点を忘れなかったことです。

 本書には、筆者が多くの時間と労力をかけて国会図書館のマイクロフィルムや海外の国立図書館から独自に収集した、資本市場に関する130年間の長期データをふんだんに活用しています。
 本書に興味持たれた方は、ぜひご一読ください。なお、文庫版ではトランプ政権による影響など、最新情報についても加筆してあります。

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