経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

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ファミマの株価が上昇している理由

 このところファミリーマートを運営するユニーファミリーマートホールディングスの株価が好調です。他のコンビニと比較すると圧倒的な上昇率となっていますが、ファミリーマートはなぜ株式市場から評価されているのでしょうか。

店舗の統廃合が順調に進んでいる

 ユニー・ファミリーマートホールディングスの株価は、今年の前半から急上昇を開始し、6月には1万2000円を突破。その後、株価は少し調整しましたが、年初との比較では約1.5倍の水準となっています。

 同じ期間、業界トップのセブン&アイ・ホールディングスはほぼ横ばい、ローソンはむしろ下落していますから、ファミマの評価は突出しています。

 これまでコンビニといえば何と言ってもセブンというのが市場の常識であり、投資家もまずはセブンを第1候補にしていました。株価というものは、ある意味、非常に正直な存在であり、その業界の状況を如実に示しています。ここにきて、トップ企業ではないファミリマートの株が買われたということは、業界秩序が変化する可能性について市場がかぎ取っている可能性があります。

 ファミリーマートの株価が買われる理由としてよく言われているのが、サークルKサンクスとの統合効果です。

 同社は2016年9月、サークルKサンクスを展開していたユニーグループ・ホールディングスと合併し、両社のコンビニ事業をファミリーマートに統一しました。

 ファミリーマートとサークルKサンクスは重複店舗も多く、その統廃合がうまくいくのか市場は懸念していましたが、統合後の新会社は利益体質を最優先し、思いのほか迅速に店舗の統廃合を進めています。市場がこれを高く評価したというのは妥当な分析といってよいでしょう。

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投資家は新しいビジネスモデルに期待している

 これに加えて同社の長期戦略を投資家が期待しているという側面も大きいと考えられます。

 同社は親会社である伊藤忠商事と提携して、アプリを使った金融サービスに乗りだそうとしています。また、SNS企業であるLINEとの提携や、コインランドリー併設店舗の展開、ディスカウントストアのドン・キホーテとの提携など、新事業に対して意欲的です。

 一方、セブンは人による接客の重視を打ち出すなど、従来路線の強化を進めています。

 ファミマの新戦略はリスクも高いですが、うまくいった場合には、従来のコンビニとはまったく違う売り方を実現できる可能性があります。投資家はこのあたりに期待しているのかもしれません。

 こうした銘柄の場合、想像以上に株価が上昇する可能性がある一方、期待外れな結果に終わってしまうと、大きく下落することもあり得ます。

 コンビニは成熟市場ですが、一方ではまだまだポテンシャルがあるビジネスです。ここ最近の株式市場の動きは、こうした事情をよく反映しているといってよいでしょう。

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