知っているようで知らない外貨投資の話 第1回
この連載では、知っているようで知らない外貨の話をQ&A形式で解説していきます。これからの時代、国際分散投資を避けて通ることができませんが、一方で外貨には国内商品にはないリスクもあります。外貨についていろいろと知っておいて損はないでしょう。
まずは、以下の2つの問を見てください。
[box class=”blue_box” title=”問1″]為替は東証のような取引所で売買されており東京外国為替市場という取引所がある
(答え ×)[/box]
[box class=”blue_box” title=”問2″]同じ時刻(全く同じ瞬間)に異なるレートで取引が成立することがある
(答え 〇)[/box]
ドル円の為替レートは毎日、ニュースで報道されていますから、多くの人が何も気にせずにこの情報に接していると思います。また、海外旅行に行く時や、貨建ての商品に投資する時には円を外貨に換える必要がありますから、実際にドルと円を交換した経験があるという人も多いでしょう。
しかし、東京外国為替市場という名前の取引所は存在していません。つまり問1の答えは×ということになるのですが、こうした為替取引はどこで行われているのでしょうか。
ここで言う市場というのは、必ずしも取引所のことを指しているわけではありません。
為替取引は注文を一箇所(取引所)に集めて価格を付き合わせるような取引ではなく、A銀行とB銀行、CブローカーとD銀行、といった具合に一対一の「相対取引」が行われており、その集合体を市場と呼んでいます。
それぞれが違う相手と取引をしているので、同じ瞬間に別の場所では違うレートで取引が成立することもあり得ます。したがって問2の答えは〇になるわけです。
東京、ロンドン、ニューヨークと相場が引き継がれる
ニュースで耳にする、東京外国為替市場、ニューヨーク外国為替市場、というのは、その場所で取引が活発に行われている時間帯とその参加者たち、と捉えればよいでしょう。
東京外国為替市場なら参加者の中心は日本の銀行やブローカーであり、時間帯はおおよそ9時前後から5時前後といったところになります。もちろん海外の人も東京の人に注文を出しますが、参加者の中心は日本人で円を介した為替取引が多くなります。
ニューヨークであれば、日本時間の夜10時(または11時)が朝の9時ですから、日本の夜に市場が開く(取引が開始される)わけです。順番としては、日本市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場と続き、また日本市場に戻ってくるという流れで相場が続きます。
FX(為替証拠金取引)をしている人は、昼夜なく投資をしているイメージがありますが、それは次々と別の市場が開いていくので、取引されていない時間帯というものが少ないからです。
これだけでも、為替市場の世界は株式投資を行う証券市場とはだいぶ様子が異なるものであることがお分かりいただけると思います(次回に続く)。