加谷珪一の投資教室 第25回
投資商品は適切な価格設定がなされていれば、リスクが高い商品はリターンが高く、リスクが低い商品はリターンも低くなるのが普通です。この関係をうまく活用できれば、複数の資産を使ってリスクを上手に管理できるようになります。これを体系化したのがポートフォリオ理論です。
預金は事実上リスクゼロとみなしてよい
では実際に、預金、債券、株式の3種類の商品に関してリスクとリターンを見てみましょう。3者の関係は図のようになります。
預金については、一定金額までなら元本・金利が保証されていますので、安全である分リターンが少ないということはイメージしやすいでしょう。
預金は、元本・金利が保証されている=ブレはない、ということで、Aの位置にプロットされます(銀行にも倒産リスクがありますが、預金は1000万円まで保護されますから、金融理論の世界ではリスクゼロとみなします)。
債券は、金利があらかじめ保証されています。そして、債券の発行体が倒産しない限り、償還期限まで保有することで元本も保証されます。しかし途中で換金をする場合、金利動向や発行体(社債であれば発行している会社、地方債であれば自治体など)の経営状況により市場価格が変動している可能性があります。
さらに言えば、発行体の経営状態の悪化により元本が戻ってこない可能性もあります。つまり、リターンにブレ(つまりリスク)があるわけです。利率は預金より高くなければ、この商品に投資する投資家はいなくなりますから、リターンは高めとなります。
リスクとリターンの関係は穏やかカーブとなる
しかしながら、株式などと比較するとリターンの上限がある程度決まっている分、リスクが低いともいえます。そして、債券の種類や銘柄によってリスクとリターンに違いがあるため、おおおよそBの範囲に位置することになります。
株式は理屈の上ではリターンの上限は決まっていません。その企業が将来成長し続けるならリターンはある意味で無限大となりますが、その分リスクも高くなります。また、銘柄によりリターン・リスクに大きな開きがありますので、Cのように範囲が広くなるわけです。
先ほど述べたように株は理屈の上ではリターンは無限大です。リスクとリターンのグラフはゼロの地点から直線(リスクが無限大になるとリターンも無限大)で描かれることが多いのですが、実際にはリスクを無限大にとったからといってリターンは無限大にはなりません。
言い換えると、ある一定以上はリスクをとってもリターンはそれ以上増えなくなります。したがって、商品ごとのリスクとリターンは、このグラフのように緩やかにカーブする形状になるとイメージしたほうがよいでしょう。
この関係性を利用した手法がポートフォリオ理論ということになりますが、詳細は次回に解説します。