ネット事業者にとって検索エンジンで自社のサイトが上位に表示されることは非常に重要です。上位に表示されるようにするための対策のことを業界ではSEO(検索エンジン最適化)と呼んでいます。
基本的にはリンクの数で判断
検索エンジン最大手のグーグルは、どのようにすれば上位に表示されるのか、くわしい仕組みは明らかにしていません。
しかし、現在のところ、サイトのランク付けの最大の根拠となっているのは、他のサイトからどの程度リンクが貼られているのかというリンクの数です。
他のサイトからたくさんリンクを集めていれば、人気があり、質も高いサイトであるとみなすというわけです。もちろんこれだけが基準ではなく、アクセス状況やコンテンツの中身などを総合的に評価し、検索の順位を決定していると思われます。
しかしながら、基本的にリンク数で検索順位が決まるということになると、当然、それを意図的に増やそうという人が出てきます。グーグルでは、こうした意図的なリンク数の増大を検知した場合には、順位を下げるといった措置を取っています。
先日、求人サイト運営大手のリブセンスが、不自然なリンクが多すぎるとして、グーグルから順位を下げられてしまったという報道がありました。
真偽の程は定かではありませんが、同社におけるネット以外の広告費が急増し、利益率が大きく下がっているところを見ると、その話はどうも本当のようです。
サイトの価値がリンク数だけで決まってしまうことについては少々納得がいかない人も多いでしょう。
実際、パソコンの設定や操作に関する情報では、その道の達人による確かな情報よりも、一般利用者が参加するアクセス数の多いQ&Aサイトに掲載される間違った情報の方が圧倒的に高い検索順位になっています。
自然言語解析技術をフル活用
グーグルもそのあたりはよく理解しているようで、同社ではリンク数に大きく依存したランキング方式の改良を進めています。
新しい評価方法のひとつが、「オーサーランク」と呼ばれる概念です。
オーサーランクとは、その名の通り、文章の書き手をランク付けし、より専門性が高いと判定された人のコンテンツを上位に表示しようというものです。
どのようにして書き手をランク付けするのかについては今のところ不明ですが、おそらく自然言語解析技術をフル活用する可能性が高いと考えられます。
プロフィールが明確で著名な書き手についてはすぐにランク付けが可能ですが、匿名で文書を書いているブロガーはその実績などを判断する手段がありません。
しかし、自然言語解析技術を使えば、文章を書いた人にどの程度の専門的知識があり、論理的な文章の組み立てを行っているのかについて評価することが可能となります。
グーグルでは、リンク数を中心にした既存の評価体系に、こうした新しい技術を使った評価体系を組み合わせることで、総合的にサイトのランクを決定していくものと思われます。
グーグルが勝手にサイトのレベルの判断するのはケシカランという声もありますが、これは今に始まったことではありません。少なくとも、リンク数に大きく依存した現在の検索結果よりは、使い勝手のよいものになるでしょう。