加谷珪一の知っトク経営学 マーケティング編 第2回
【マーケティングの4P】
マーケティングはもともと個別のテクニックとして現場で発達してきたものですが、製品を上手に売っていくための一連のプロセスと認識すべきものです。そうだとするとバラバラな概念のままでは意味がありません。個別の手法を組み合わせ、体系化して考えることが重要となります。
マーケティングは単独では意味がない
こうした考え方は一般にマーケティング・ミックスと呼ばれており、具体的にはマーケティングの4Pという概念が有名です。4Pは、米国のマーケティング学者であるマッカーシー(1928~2015)が提唱し、マーケティングの世界ではもっとも有名なコトラー(1931~)が拡張したものです。
マーケティングにおける4Pとは以下の4つのフェーズのことを指します。
①製品(プロダクト)
②価格(プライス)
③流通(プレイス)
④販促(プロモーション)
それぞれの項目の頭文字を取って4Pということなのですが、この4つの項目をうまく組み合わせることで、はじめてマーケティングは効果を発揮してくることになります。
開発段階から販促は始まっている
製品開発はすべての活動の根幹といってよいものです。成長を持続できる企業は常にR&D(研究開発)に多くの費用を投じ、新しい製品やサービスを開発しています。
また既存技術だけを使っていたとしても、それが新しい付加価値を生み出すこともあります。製品開発は必ずしも新技術を伴うというわけではありません。
いくらよい技術があっても、それが市場ニーズに合っていなければ意味がありません。どのような製品を開発するのかというのは、マーケティングの中でももっとも重要な部分と考えてよいでしょう。
製品を企画・立案する際には、プライシングの問題を避けて通ることはできません。同じコストをかけた製品でも、それを高く売る場合と安く売る場合では、製品のコンセプトそのものが変わってしまいます。プライシングはビジネスの中でも核となる部分であり、ここをどう設定するのかで利益の大半は決まってしまいます。
流通とは販売チャネルのことを指しています。同じ製品でも、直販方式で顧客に直接販売するやり方と販売店網を経由して販売するやり方では、異なるアプローチが必要となります。販売チャネルの違いによって、製品戦略そのものを変えるケースもあります。
販売チャネルと密接に関係しているのが販促活動です。なぜか日本では、マーケティングというと販促のことだけをイメージする人が多いのですが、それは正しい認識ではありません。販促はマーケティングのごく一部に過ぎない概念です。
製品、価格、流通が決まれば、販促のやり方は半ば自動的に決まってくるといっても過言ではありません。販促活動を単独で考えるというのは、非常にナンセンスなことなのです。
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