コンビニ経済学 第7回
コンビニといえば24時間営業というイメージですが、実際、大手コンビニ各社は24時間営業を基本原則としてきました。コンビニが24時間営業なのは、その方が店舗の売上高が増加し、運営効率が良くなるからですが、最近は人手不足や働き方改革などから、一部ではこれを見直そうという動きが出てきています。
24時間営業すると昼間の売上高が伸びる
24時間営業を行った場合、昼間だけの営業と比較すると営業時間が長くなりますから、その分だけ売上高が増えるのは当然のことです。しかし、夜間に来店する人はそれほど多くないので、人件費や電気代など余分なコストがかかるのではないかと思えてしまいます。
ところが24時間営業の実態はだいぶ異なります。
現実問題として深夜の営業はほとんど利益になりません。ところが不思議なことに、24時間営業を実施すると、昼間の売上高が大幅に伸びることが知られており、各社はその効果を狙って24時間営業を行っているのです。
昼間の売上高が増える理由ははっきりしていませんが、いつでも開いているという安心感が作用し、顧客の来店頻度が上がることが原因と考えられます。
一般的に深夜営業をやめてしまうと、全体で3割程度売上高が落ちると言われていますが、その多くは昼間の売上高減少分となります。
深夜営業をやめても人件費はあまり減らない
店舗の運営コストも実はあまり変わりません。
深夜営業をやめれば、確かに深夜勤務の店員は要らなくなりますが、早い時間帯に店を閉める場合、来客数が多い時間帯に、翌日に備えた陳列棚の整理を行う必要が出てきます。
24時間営業の場合、来客が少ない深夜に、接客業務をしながら、こうした作業を行っていますが、店を早く閉める場合、人数を増やさないと通常の接客業務が回らなくなります。結局のところ、早くを店を閉めても、それなりに人件費がかかるわけです。
こうした理由から、各社は24時間営業を当たり前のように実施してきたのですが、深刻な人手不足が状況を変えつつあります。
業界2位のファミリーマートは、一部店舗において深夜営業を停止するという実験的措置をスタートしました。あくまで実験であり、各店にこの動きが広がるのかは分かりませんが、業界としては前代未聞の動きといってよいしょう。
ちなみに北海道で高いシェアを持つ地域コンビニのセイコーマートは、以前から24時間営業にはこだわっておらず、店舗によって営業時間はまちまちです。
もともと小売店を運営していた商店主がフランチャイズのオーナーになっているケースが多いなど特殊要因はありますが、24時間営業を行わないとコンビニが運営できないというわけではありません。
しかし最大手のセブン-イレブンは、基本的に24時間営業を継続する方針です。大手各社では自動レジなどの導入も検討しており、基本的には省力化で人手不足を乗り切り、営業時間の短縮は実施しない可能性が高いでしょう。