これまで、かなり厳しい状況が続いていた国内の景気に多少、持ち直し感がでてきました。実質GDPが2四半期連続でプラスとなったからです。
1~3月期GDPは2四半期連続でプラス
内閣府は2015年5月20日、2015年1~3月期のGDP(国内総生産)速報値を発表しました。物価の影響を除いた実質でプラス0.6%、年率換算ではプラス2.4%と、2四半期連続のプラス成長となっています。
もっとも2期連続プラスといっても、2014年がさんざんな状態でしたから、そのマイナスを埋める状況にはなっていません。
2014年4~6月期は消費税の影響もありマイナス1.8%という大幅減でした。7~9月期もプラス転換せず、マイナス0.5%にとどまっています。10~12月期に0.3%とようやくプラス転換し、今期はそのプラス幅が増加したという状況です。
まだまだ不十分ですが、底なし沼という状況からは脱することができたかもしれません。また、GDPの中身を見ると質的な部分でも改善が見られます。
これまでは、落ち込む個人消費を公共事業がカバーするという図式が続いていました。将来への借金で、今の景気を維持しているわけですから、いい状態とはいえません。
しかし今期は、個人消費がプラス0.4%と3四半期連続でプラスとなったほか、住宅も1.8%とプラス転換しています。企業の設備投資も増加しました。政府支出よりも民間需要が大きいのはよい兆候といってよいでしょう。
本当の成長フェーズに入るためには
いつも指摘していることではありますが、まだまだ日本経済は自立的に成長を実現できる状況にはなっていません。
確かに大企業を中心に企業業績は堅調で輸出も増えています。しかし、これは好景気が続く米国経済に大きく依存した図式であり、米国経済が息切れしてしまうと、元の状態に戻ってしまう可能性があります。
米国経済は基本的は順調ですが、今年は利上げをめぐって微妙なタイミングに差し掛かっています。6月もしくは9月という早期の利上げ観測がある一方、来年まで待った方がよいという意見も根強く残っています。
米国の株式市場は、利上げが来年以降になることを前提に買い進まれている面がありますから、もし予想外に利上げが早まれば、米国株も一旦調整となり、米国の景気にも一服感が出てきてしまう可能性があります。
日本が高い成長を実現するためには、低い水準にとどまっている生産性を向上させ、賃金を上昇させる必要があります。
しかし多くの日本企業はビジネスモデルの改革にあまり積極的ではなく、米国の景気拡大による輸出の増加を望んでいます。
好調な米国経済を業績に取り込むため積極的に現地に進出している企業はまだマシですが、国内だけの展開にとどまり、業績好調なグローバル企業からの波及効果のみを狙っている企業も少なくありません。
これは戦後日本のビジネスモデルそのものですから、すでに賞味期限が過ぎています。
本当の意味で、日本が成長フェーズに入るためには、労働市場も含め、企業のビジネスモデルを付加価値重視に変革していく必要があるしょう。