経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

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「貧乏国ニッポン」が幻冬舎新書から発売開始となりました

 最新刊「貧乏国ニッポン」が幻冬舎新書から2020年5月28日に発売開始となりました(追記:本書は発売からわずか2週間ちょっとですでに4刷りとなっており、非常に多くの皆様に読んでいただいております。あらためて御礼を申し上げます)。

 このところ、日本が諸外国と比較して貧しい国になりつつあることは、多くの人が、何となく実感していることだと思います。日本社会はこうした現実について見て見ぬフリをしてきましたが、それも限界に達しつつあります。今回のコロナ危機では、マスクやアルコールの不足、給付金の支払い手続きの不備、貧弱な予算など、日本経済の基礎体力の低下を露呈する結果となりました。

 近年、日本は保守化していると言われ、厳しい現実から目を背け、無条件に日本を賛美することが愛国的であるとの風潮が蔓延しています。筆者はこうした態度が愛国的とは到底、思えません。本当に日本を愛しているのなら、厳しい現実を受け止め、改善する努力を積み重ねるべきでしょう。

 そのためには、日本の現状を定量的に認識することが何よりも重要となります。本書はそのような思いから執筆しました。本書では、日本が貧乏な国に転落した現実についてモノの値段という観点から具体的なデータを使って示していきます。モノの値段というのは経済を示すバロメーターであり、モノの値段をしっかりと認識できれば、経済の状態をありのままに解釈することができます。その上で、日本の強みをどう生かしていくべきなのか、考察しました。

 またモノの値段がどのようにして決まるのか、為替レートは物価にどのような影響を与えるのかなど、物価についての総合的な解説も行っていますから、物価に興味のある人にも読んでいただけると思います。

 本書には厳しいことがたくさん書いてあります。厳しい現実を見たくない、あるいは無条件で日本を賛美すべきだと思っている方は、わざわざ本書を読む必要はありません。日本の現状について、心から憂いている方にのみに読んでいただければと思っています。

 本書の内容は以下の通りです。

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第1章 日本はこんなに「安い国」になっている
 「年収1400万円は低所得」の衝撃
 「賃金が安い分、物価も安いの暮らしやすい」はウソ
 世界最安値 日本のディズニー・ダイソー
 日本の初任給はグローバル水準の半分
 iPhone購入の負担感は世界一
 もはや自動車は富裕層の持ち物
 「億ション=富裕層」は日本だけ
 日中の単位労働コストはすでに逆転
 日本人が海外に出稼ぎに行く日も近い
 海外の年金生活者が安いニッポンに大挙

第2章 安さだけではない、日本の転落
 日本の国際的な地位は急激に低下
 日本からノーベル賞受賞者は出なくなる
 「日本は暮らしやすい」は過去の話
 日本の年金制度は新興国並み
 海外は物価以上に賃金も上昇している
 日本の貧困化に注目する海外メディア

第3章 なぜここまで安くなってしまったのか
 「日本株式会社」は20年働いて昇給ゼロ
 「戦後最長の経済成長」のウソ
 生活実感は常に正しい
 東南アジアの消費はいまや日本と同等
 消費増税⇒景気後退は日本だけ
 昭和モデルから脱却できない日本企業
 今すぐ捨てるべき「日本は大国」幻想
 「成長しなくてもよい」は成立しない

第4章 モノの値段はどう決まるのか
 モノの値段は景気のバロメーター
 不景気になると物価は下落傾向に
 アベノミクスに実感が伴わないワケ
 金利が分かれば経済が見える
 景気悪化と物価上昇の二重苦
 オイルショックはコストプッシュ・インフレの典型
 新形コロナがスタグフレーション誘発も
 「日本破綻論」の現実的解釈
 税収の半分が国債の利払いに消える

第5章 そもそも経済大国ではなかった(為替レートのマジック)
 経済が強ければ円高など関係ない
 為替レートは基本的に購買力平価で決まる
 なぜニクソン・ショックは発生したか
 虚構の「1人あたりGDP世界一」
 打つ手なきポストコロナの経済対策

第6章 日本の強みをどう生かすべきか?
 手取り14万円、終わっているのは日本かお前か
 国内消費で経済を回す国に転換すべき
 アベノミクスに対する根本的誤解
 サラリーマン社長を一掃すべき
 低生産性の原因は社内失業
 インバウンドにも付加価値という視点を
 日本にとって最強の経済政策とは

「おわりに」にかえて
 初心者ほど外国株に投資すべき
 海外就職に英語が必須とは限らない
 日本の商品は外国で売れる

 以上

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