経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

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日本人は実は休みすぎ?

 今年のゴールデンウィークは最大10連休と過去最大級となっています。一般的に日本人は働き過ぎだと言われますが、年間の休日数という部分に絞ると、実は世界でもトップクラスとなっています。これはどういうことなのでしょうか。

年間の休日数は実は世界トップクラス

 2019年における土日を除く日本の休日数は17日ですが、これは突出して多い数字です。多くの先進諸外国では10日以下というところがほとんどなので、年間休日数という部分に話を絞れば、日本は世界でもっとも休みが多い国のひとつということになるでしょう。

 一方、日本人はいつも仕事に追われ、休む暇がないといわれていますが、この話も本当です。

 日本人の労働時間は年々短くなっており、2016年は約1700時間と米国とほぼ同じレベルになりました。しかし、欧州の労働時間はさらに短く、フランスは1472時間、ドイツは1363時間となっています。日本は休日数が突出して多いですから、平日には慢性的な残業体質になっていることが推察されます。

 平日の残業時間が長いという話は、他の統計からも分かります。

 日本人の睡眠時間や家族と過ごす時間は、先進諸外国と比較すると大幅に少ないことが分かっています。夜中に帰宅するビジネスパーソンが多く、結果として家族との時間や睡眠時間が犠牲になっているという図式です。

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生産性を上げないと問題は解決しない

 では日本人は働き過ぎなのに、なぜ休日の数だけが多いのでしょうか。筆者は生産性の問題が大きく関係していると考えています。

 日本人の生産性が主要国中でもっとも低いことはよく知られていますが、これは単に現場の仕事が効率化できていないというだけが理由ではありません。

 付加価値の高いビジネスに移行すべきところを、薄利多売の状況をそのまま放置しているケースや、社内の融和を最優先して不必要な部署や仕事を残すなど、組織全体に問題があるケースもあります。このような場合、こなさなければならない仕事はなくなりませんから、どこかで長時間労働をしなければなりません。

 結局、平日は慢性的な残業となり、こうした状態から社員を解放するためには、一斉休日を増やすしかないというのが実態と考えられます。

 諸外国では休日数は日本よりも少ないですが、有給休暇の消化率を含め、実際に休みを取っている日数は日本よりもはるかに多いと考えられます。日本も生産性の向上に本格的に取り組み、休みたい時に休める体制にシフトしていくことが重要でしょう。

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