政府が本気でコンビニの24時間営業是正に乗り出すという話は本当か?

加谷珪一の情報リテラシー基礎講座 第37回

 一部のコンビニ店舗において24時間営業の維持が困難になっている問題で、経済産業省が対策に乗り出すという報道が出ています。しかしながら、現時点では政府が対策に本腰を入れると解釈するのは早計です。
 最終的な政府の方針はまだ分かりませんが、官庁はメディアを使ってガス抜き的な宣伝を行うことがよくあるという事実は、頭に入れておいた方がよいでしょう。

経産相がコンビニ企業トップと直接、面会

 経済産業省は2019年3月26日、コンビニのフランチャイズ加盟店に対する調査結果を発表しました。加盟店オーナーの61%が人手不足と回答しており、フランチャイズ契約について満足していないというオーナーも増えていることが明らかとなりました。

 同省ではこうした状況を受けて、コンビニ運営4社に対して具体的な行動計画の策定を要請する方針を固めました。世耕経済産業相がコンビニ運営企業トップと直接、会って要請するそうです。

 一部の加盟店オーナーが、本部と厳しい契約を余儀なくされているのは事実ですが、法律上は事業者どうしの契約ですから、立場は対等ということになり、本来は政府が介入できる話ではありません。また下請業者の利益保護を目的とした下請法に対象にもならないので、あくまで要請は任意という形になるようです。

 世間一般では、コンビニ加盟店の状況があまりにも悪いので政府が対策に乗り出したという受け止め方ですが、リテラシーのある読者の方は、少し立ち止まって冷静に考えるべきでしょう。

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官庁とメディアの特性を理解しておくべき

 法的な根拠が薄い事案について、政府機関はあまり積極的には動こうとしません。無謬性(自分は絶対に正しいという理屈)を重視する官庁の傾向として、法的根拠がないことには後ろ向きになるのが普通です。

 それにもかかわらず、今回のようなアクションを行うという場合には、いくつか理由が考えられます。ひとつは、単なるポーズで、本気で状況を変える気はないというケース、もう一つは組織が暴走して先走っているケース、三つ目は事後的に法的措置を検討しているというケースです。

 現時点では、どれに該当するのかは分かりませんが、官庁は時に、国民からの受けをよくするため、実施する気のない規制をメディアに宣伝してもらうことがあります。実際に規制する気はありませんから、業界との関係もこじれませんし、国民からは喝采を得ることができます。

 メディアの側も、官庁の状況を理解していますが、わざわざ「それは国民受けを狙ったポーズだ」と批判して、官庁とケンカするメリットは少ないというのが現実です。
 マスコミはウソの報道ばかりしていると批判している人も、こうしたケースに対してはなぜか反応しません。結局のところ、ほとんどの人が、自分にとって心地よい報道を求めているだけだからです。かくして、大騒ぎしたものの、結局は何も変わらないということがよくあるのです。

 今回は世論の高まりも大きいですから、どう着地するのは何とも言えませんが、現時点において政府が本気で対策に乗り出したと解釈してしまった人は、いわゆる官庁とメディアによる世論コントロールにうまく乗せらてしまったと考えた方がよいでしょう。

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