スクショやコピペが違法?奇妙な著作権保護論の背景

 スマホでスクリーンショット(スクショ)を撮ったり、パソコンでコピー&ペースト(コピペ)を行うことが違法になる可能性が出てきました。
 あくまで方針が示されただけですが、一部の識者は行き過ぎであるとして批判しています。著作権侵害を防ぐことが目的とのことですが、著作権保護の問題は抽象思考が苦手な日本人にとって、なかなか扱いが難しいようです。

海賊版をアップする人は放置する一方、ネット利用者には厳しい制限

 文化庁の審議会は2月13日、権利者の許可なくネット上にあるコンテンツをダウンロードすることについて、全面的に違法とする方針を了承しました。

 著作権を侵害していると知りながらダウンロードした場合に限るという話ではありますが、ネット閲覧の結果をスクショとして保存したり、ブログに掲載されている歌の歌詞をコピペすることなども対象に含まれています。
 スクショなどは誰でもしているでしょうし、そこに著作権を侵害しているコンテンツがあることを知らなかった場合でも、それを第三者に証明する手段はありません。意図的にダウンロードしていると指摘された場合、これを覆すのは困難でしょう。

 もし法制化が行われ、広範囲に執行された場合には、かなりの混乱が発生する可能性があります。識者の一部からは危惧する声があがっていますが、その声がどこまで反映されるのかは何ともいえません。

 これまでもネット上のコンテンツを許可なくダウンロードすることは違法でしたが、対象となるコンテンツは映像と音楽に限定されていました。しかし、漫画の海賊版のサイトによる被害が深刻になっていることから、あらゆるコンテンツのダウンロードを違法とする方向性で議論が進められており、今回の方針決定もその流れにあります。

 違法なコンテンツをアップする人を摘発するのは大変なので、利用者側を広範囲に厳しく規制することで、全体の抑止効果を狙うという考え方ですが、効果のほどはともかく、洗練されていない後進国的な手法であることは間違いないでしょう。

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フェアユースを導入すべきという声もあるが

 これに対して一部の識者は日本でもフェアユースの考え方を定着させるべきだと主張しています。フェアユースというのは、米国や英国などで用いられている概念で、報道や解説、調査研究など、社会的に意味があり、かつ公正な利用方法であれば、著作権の侵害は問わないというものです。

 フェアユースを導入すべきというのはまったくの正論だと思いますが、残念ながら日本で実現するのは難しいと筆者は考えます。

 本来、英米法的な著作権というのは、ビジネス的に利益が得られているものでなければ、そもそも権利が発生しないものであり、著作物の複製そのものを絶対悪とみなす概念ではありません。したがって公共の利益にかなうものであれば、そもそも著作権保護の対象にはなりません。

 要は社会全体のバランスを考えて判断しようということですが、日本における著作権の法体系はまったく逆の考え方に立脚しています。何が合法で何が違法なのかは、いちいち法律で決めることになっており、極論すれば、利用者の一挙手一投足を法律で規定しなければなりません。

 著作権の概念そのものや、フェアユースという考え方は非常に抽象度が高く、一般的に日本人はこうした形而上学的な思考を苦手としています。抽象度が高い概念を形而下で処理してしまうと、どうしてもルールでがんじがらめになってしまうわけです。この状況はすぐに改善しない可能性が高く、著作権をめぐる奇妙な議論は今後も続くことになりそうです。