東京のGDP成長率が地方よりも低いのはなぜ?

 都道府県ごとのGDP(国内総生産)統計において、東京の成長率が地方に比べて低いことが話題になっています。東京の一極集中が是正されていると捉えることもできますが、どうもしっくりこないという人も多いと思います。なぜ東京のGDP成長率は低いのでしょうか。

東京の1人当たり県民所得の伸び率は何と42位

 内閣府がとりまとめている「県民経済計算」によると、2015年度における東京の実質GDP(国内総生産)成長率は1.8%で、日本全体の数値である1.6%を上回ったものの、順位は19位にとどまりました。1人あたりの県民所得については、絶対値では1位ですが、伸び率では何と42位です。

 複数年でも状況は変わりません。2010年から2015年にかけての成長率を単純平均すると、もっとも成長率が高かったのは宮城県、2位は三重県、3位は岩手県、4位は群馬県、5位は愛知県でした。東京は21位となっており、東京が低迷していることは明らかといってよいでしょう。

 日本はは東京にすべてが集中しており、東京が日本の経済を牽引しているというイメージが強いと思います。では、なぜ東京の成長率が低く、地方が高いという結果が出ているのでしょうか。ヒントになるのは上位に入っている都道府県名です。

 1位の宮城県と2位の岩手県は、多くの人が想像する通り、震災復興特需が関係している可能性が高いと考えられます。2015年のランキングでは宮城県、岩手県が上位に入っていないことや、建設業の伸びが大きいことなどからも、復興事業による影響が大きいことが想像できます。

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輸出依存の経済を反映した結果

 復興需要は特殊事情といってよいものですからこれを除外すると、注目すべきは三重県と愛知県です。三重と愛知は、トヨタ自動車など、愛知県を中心に展開する自動車産業の効果が大きいと考えられます。

 日本全体のGDPは個人消費が6割を占めており、輸出が直接的にGDPに占める割合は高くありません。しかし輸出によるGDPのが小さいことと、輸出に依存していないことはまた別問題です。

 日本メーカーの一部は米国やアジアなどに生産拠点を移しており、以前と比べて輸出の絶対量は減りましたが、それでも基幹部品を日本国内で製造し、海外の生産拠点に輸出するケースはたくさんあります。日本メーカーの主な販売先は米国なので、米国の景気が良くなり、輸出が伸びると国内の設備投資が拡大し、これがGDPを押し上げるという図式は今も変わっていません。

 日本は東京と地方に大きな格差があり、これをどう是正するのかが常に議論の的となってきました。一連のGDP統計を見れば、東京と地方の差は縮小していることになりますが、これが米国への輸出に依存した結果だとするならば単純には喜べません。

 米国の景気がいつまで続くのか分かりませんし、製造業は必ず後発の新興国に追いつかれます。都道府県別のGDP統計の結果は、輸出依存の体制から脱却し、消費主導経済を確立することの重要性を示していると考えるべきでしょう。