金利の動きと景気循環の関係

加谷珪一の金利教室 第15回

 長期金利は基本的にその国の名目GDP成長率と密接な関係があります。経済が成長すると皆が考えれば金利は高めに推移し、逆に成長が鈍化すると考えれば金利は低くなります。
 しかし、経済というのは、一直線に拡大していくわけではありません。景気の見通しが変わることによって金利が変化し、それが現実の経済にも影響を与えることになります。これがいわゆる景気循環を引き起こすことになります。

金利は景気循環を示す指標となる

 ビジネスの取引が活発になると、インフレ期待が高くなり、その結果、金利も上昇していきます。金利の上昇幅が小さいうちは大した影響はありませんが、上昇幅が大きくなると、今度は金利の動きが経済に影響を与えるようになります。

 具体的には、金利が上がるとお金を借りる行為を躊躇する人が出てきます。企業の設備投資は、銀行からの融資で賄われることが多いですから、金利が上昇すると、設備投資を取りやめる企業が増えてくるのです。

 この動きが顕著だった場合、設備投資の減少という形で経済に少しブレーキがかかり始めます。設備投資が減ると、その分、発注も減りますから、やがては所得の減少という形で消費にも影響を与えるでしょう。長期的に見れば、金利の上昇は好景気を反映したものですが、短期的には、金利の上昇が逆に経済活動が停滞させるという結果をもたらすわけです。

 金利の上昇による景気の停滞がしばらく続くと、今度は再び逆向きのベクトルが働き始めます。金利が低下することで融資が活発になり、これが設備投資などを誘発するのです。一連の動きが、景気循環を引き起こしています。

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投資家にとって金利動向のチェックは必須

 この話は、株式投資に置き換えても成立します。景気が活発になると、インフレ期待が高まってくきます。モノの値段が上がるということは、株式や不動産などに投資をした方が得ということを意味していますから、現金として寝かせておくのではなく、お金をモノに替えた方が有利になります。逆に言えば、現金を持っていることはインフレ下では不利になってしまうわけです。

 そうなると多くの人は貯蓄を取り崩し、投資に邁進するでしょう。これまで眠っていた銀行預金が動き出しますから、銀行は資金の確保に苦労するようになります。結果として、金利が上昇するという現象が発生するのです。景気拡大期にはこうした作用が働くので、金利が上昇し、やがてはこれが景気を冷やす原因となります。

 景気が拡大する局面では、株価も上昇しているはずですが、金利も徐々に上がっていくでしょう。金利がゆっくり上昇しているうちは、順調なインフレ期待なので問題ありませんが、金利の上昇スピードが上がってきた場合は、市場が景気の過熱を心配しているサインかもしれません。

 最終的にはどこかのタイミングで株価が下落を開始し、その後を追うようにして金利も下がっていきます。下がるところまで下がると、次は株式が反転するタイミングがやってきます。

 株式投資は株価の動きだけを見ていればよいというわけではありません。金利の動きに注意を払い、最適なタイミングを見計らうことが重要です。

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