インフレと経済成長の関係 

加谷珪一の金利教室 第13回

 金利と物価には密接な関係があることについては、本コラムでも何度か言及してきましたが、今回は物価上昇のメカニズムについてもう少し詳しく考えてみたいと思います。

物価が上がるメカニズム

 長期金利が短期金利よりも高いのは、多くの人がインフレを予想しているからですが、そもそも人は、なぜインフレが続くと考えるのでしょうか。その理由は、同義反復的ですが、金利というものが存在しているからです。

 まとまったお金があれば、それを運用して儲けることができます。このため、人にお金を貸す時には金利を徴収しないと、運用益の機会損失となってしまいます。したがってお金の貸し借りには必ず金利というものがついて回ることになります。

 これを社会全体に適用するとどうなるでしょうか。

 お金が余っている人は銀行に預金し、銀行は、お金が必要な個人や法人に対して、金利を徴収して融資を行います。貸したお金が返済される時には必ず利子が加わっているので、社会全体で必要とされるお金の総量は増えていくことになります。
 お金の量が増えるとお金の価値は下がるので、物価は上昇、つまり世の中はインフレになるというメカニズムが働くわけです。

 これに加えて、お金が融資や投資という形で必要な場所に適切に融通されると、取引が活発になり、それが経済成長とインフレをもたらすという側面も無視できません。

inflation

インフレが持続すると多くの人が考える理由

 取引が活発になると、より多くのお金が必要となる理由は、ビジネスの現場をイメージするとわかりやすいと思います。ある商店のケースを考えてみましょう。

 もし不景気で商品が売れなければ、今ある商品を販売し、顧客から代金を受け取った後に、次の商品を仕入れれても大きな問題は発生しません。しかし、景気がよくなり、顧客から次々と注文が舞い込むようになるとそうはいかなくなります。顧客からの入金を待っていては、新しい商品を仕入れるタイミングが遅くなり、在庫不足になってしまうからです。

 商店は、在庫不足にならないよう、銀行からお金を借り、販売代金が支払われる前に、次の商品を仕入れることになるでしょう。こうした状況が社会全体で同時多発的に進行すれば、商品の仕入れのためにより多くのお金を必要としますから、売買に必要な金額以上のお金が市場に流通していないと、スムーズに経済が回らなくなってしまいます。

 中央銀行は金融機関に対してお金を供給していますが、彼等は資金需給を見ながら、その量を常にコントロールしています。経済が活発になれば、中央銀行はより多くのお金を市中に提供し、経済が縮小すればお金を市場から回収します。

 提供されるお金の量が増えれば、当然、物価は上昇しますが、これを世間ではインフレと呼びます。金利の存在や、経済の活発化を要因とした一連のメカニズムは、上下のブレは発生するにしても持続的であると多くの人が考えています。その結果として、インフレは恒常的なものと認識され、長期の金利は高めに推移することになります。

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