災害多発!日本のインフラをどうすべきか(後編)

 前回は関西国際空港の台風による冠水を取り上げました。今回はその後、北海道で発生した地震による大規模停電についてです。電力を集中化すれば効率化と低コスト化が実現しますが、リスクは増大します。コストとリスクに関する国民的な議論が必要でしょう。

特定発電所への集中化が根本的な原因だが

 台風21号によって関空が閉鎖となった2日後、今度は北海道で地震が発生。北海道全域、約295万戸への電力供給がストップするという、かつて経験したことのない広域大規模停電(いわゆるブラックアウト)に陥りました。

 大規模停電が発生した最大の理由は、震源に近い場所にあった北海道電力の苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所が緊急停止したことです。

 同発電所の出力は165万キロワットと道内の火力発電所としては最大規模となっており、地震発生時には道内電力のうち約半分を供給していました。このような状態で主力発電所が停止してしまうと、他の発電所に極めて大きな負荷がかかり、場合によっては設備が破壊されてしまいます。
 このため各発電所では一斉に電気を遮断する機能が働き、これが連鎖的に発生したことで大規模停電が発生したわけです。

 今回の停電について、泊原発が再稼働できていればブラックアウトを防ぐことができたのかについて、感情的な議論となっているようですが、このようなテーマについて、激高して意見を戦わせてもあまり意味はありません。

 もし泊原発が稼働しており、かつ、今回の地震で非常停止しなかった場合には、苫東厚真の電力喪失分をカバーできた可能性はあるでしょう。しかし地震はいつどこで発生するか分かりませんから、地震によって原発が非常停止する可能性は常に考えておく必要があります。

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最終的にはコストとリスクの兼ね合い

 泊原発が揺れによって非常停止しない場合でも、苫東厚真の電力喪失による負荷が大きい場合、泊原発が非常停止する可能性があったことは否定できません(これはどの程度の出力分散が行われているかで変わってきます。筆者の大学の専攻は原子力工学でしたが、この問題は非常に複雑なので、安易に結論は出さない方がよいと考えます)。

 現実問題として、泊原発は審査中で再稼働が法的に許可されていませんから、そもそも稼働していればという前提条件も成立しないでしょう。原発の再稼働の是非そのものについてはここでは取り上げませんが、原発の有無にかかわらず、出力の大きい発電所に電力の多くを依存している場合、こうしたブラックアウトが起こりやすくなります。

 電力会社としては、効率が良く、設備が新しい発電所に運用を集中させたいと考えるのは当然ですが、特定の発電所に電力を集中させれば、その分だけ広域停電のリスクは増加します。一方、古い設備も含めて分散化を行えば、リスクは軽減できますが、コストに跳ね返ってきます。

 最終的には、かけるコストと背負うリスクの兼ね合いになるので、単一の最適解は存在しないと考えた方がよいでしょう。今後の電力インフラをどう維持していくのか、コストとの兼ね合いをどうするのか、中身のある議論を行いコンセンサスを確立していく以外に解決の方法はありません。