債券価格と利回り、インフレの関係

加谷珪一の金利教室 第8回

 前回は利率と利回りの違いについて解説しました。債券価格が変わらなければ、利率と利回りは同じになりますが、債券価格が変化すると、利率と利回りは違ってきます。

債券価格と金利の動きは逆になる

 債券価格が上がると、利回りは低下し、債券価格が下がると利回りは上昇します。債券価格の動きと利回りの動きは逆になる点に注意が必要です。

 よく経済ニュースなどで「金利は低下(債券価格は上昇)傾向が顕著となっており」といったように、カッコ書きで、金利と債券価格の関係を示す記述を目にすることがあります。これは、金利の動きと債券価格の動きが逆であることから、両者の混同を防ぐためです。

 では債券価格というのは何によって変化するのでしょうか。それは物価予想です。

 額面が100円で、利率が2%の債券を買えば、1年後には102円返ってきます。しかし、インフレが進んで1年後には物価が5%程度上昇すると、この投資は損失を出してしまいます。1年後に102円が返ってきても、1年前に100円だった商品はすでに105円に値上がりしているからです。

 この場合、債券の価格は、トータルで105円が返ってくるレベルまで下落します。金利が固定されている債券の場合、債券価格が変化しなと金利の変化に対応できません。つまり債券価格は物価予想によって変化するのです。

updown

金利が上昇すると日銀が損をする?

 物価が上昇すると皆が思えば債券価格は下落(利回りは上昇)し、物価が下落すると皆が思えば債券価格は上昇します(利回りは低下)。債券価格が下落するということは、物価上がると皆が予想しているのでインフレであり、債券価格が上昇するということは物価が下がると予想しているのでデフレということになります。

 ちなみに日本では量的緩和策が行われており、日銀が大量に国債という債券を買い入れています。識者の中には、日本の金利が急上昇すると、日銀が債務超過に陥ってしまうと指摘している人がいます。その理由は、ここで説明したように、金利が上昇すると理論上、債券の価格は下落するからです。

 2018年2月時点で、日銀は400兆円を超える国債を保有しており、平均残存期間(デュレーション)は9年を突破しています。これらの国債の利回りはかなり低いので、もし今後、日本の金利が上昇する事態となった場合には、その分だけ、国債の理論的な価格は下落することになります。

 仮に金利が5%に上昇した場合には、債券価格は理論上、30%近く値下がりします。400兆円の国債が3割値下がりなので、日銀が抱える損失は120兆円にもなる計算です。日銀の資本金、準備金、引当金は7.5兆円程度しかありませんから、120兆円の損失となれば、一瞬で債務超過ということになってしまいます。

 もっとも日銀が購入した国債は、時価評価はせず、満期まで保有することが大前提です。

 したがって仮に金利が上昇しても日銀は損失を計上する必要はありませんが、価値が下がった国債を保有することに変わりはありません。国債を市場で売却するような事態になった場合には、何らかの形で損失が現実化する可能性もゼロではないのです。

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