トヨタが中国生産を増強。ようやく中国市場に本腰

 トヨタ自動車が中国での生産台数を大幅に引き上げる方針を明らかにしました。自動車市場において今後の成長が期待できるのは、もはや中国市場だけとなっていますから、中国シフトを鮮明にしたのは戦略的に正しい決断といってよいでしょう。

トヨタは中国市場で出遅れていた

 トヨタは現在、中国で年間130万台ほどの自動車を生産していますが、この数字はGM(ゼネラルモーターズ)やVW(フォルクスワーゲン)など中国市場で高いシェアを持っている競合メーカーはもとより、日産やホンダも下回っています。トヨタの企業規模を考えると、中国市場については完全に出遅れていたと言ってよいでしょう。

 これまで自動車市場は北米が主戦場でしたから、それほど大きな問題ではありませんでしたが、北米市場もそろそろ頭打ちとなっており、状況が変わりつつあります。

 中国市場はすでに世界最大の自動車市場に成長しています。2017年における中国の自動車販売台数は約2900万台でしたが、この数字は米国市場(1700万台)の1.7倍、日本(520万台)の5.6倍もあり突出した規模です。経営の常識として突出した最大市場を攻略しないという選択肢はあり得ません。

 同社は広州市に年産20万台規模の新工場を建設し、既存工場の増産も併せて実施することで年間170万台規模の生産を目指します。
 米国と中国は貿易摩擦でギクシャクしており、米国メーカーは新規投資ができない状況となっていますから、トヨタにとっては遅れを挽回する千載一遇のチャンスというわけです。

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正しい選択だが、あまり儲からなくなってくる?

 しかしながら先を行く競合メーカーの背中はまだ遠いというのが現実です。外資系ではトップを行くVWは420万台、このところ販売台数の伸びが鈍化しているとはいえ、2位のGMは400万台を生産しています(グループ全体)。日産も中国市場を見据えた大規模投資を計画しており、生産台数増強を図っています。

 しかも中国市場はトヨタが得意とするHV(ハイブリッド)車が投入できないという難点もあります。

 中国は国策としてEV(電気自動車)を中心としたエコカーに対する優遇を行っていますが、この対象にHV(ハイブリッド)は入っていません。中国市場を攻略するにはEV化への対応が必須となりますが、EVは部品点数が少なく、あまり儲からないという難点があります。

 トヨタとしては価格勝負になるEV化はホンネでは避けたいとこでしょうが、他に選択肢がないというのが現実です。
 中国市場に本格的に舵を切ったのは正しい選択ですが、今後、トヨタが今までのような水準の利益を出し続けることはより難しくなるでしょう。