人から情報を得るための方法

加谷珪一の情報リテラシー基礎講座 第30回

 あらゆる情報の中でもっとも取り扱いが難しいのが、直接、人から聞く情報です。人から聞く情報の中には簡単には入手できない貴重なものが含まれる一方、その情報の質は、提供者の人柄や能力に大きく依存してしまいます。このため、人から聞いた情報を活用する際には細心の注意が必要となります。

相手の欲求を知らなければ情報収集はできない

 人から情報収集をする際にもっとも気をつけなければならないのは、相手の立場と情報力の見極めです。

 自分の情報を積極的に他人に伝えたいと思っている人とそうでない人がいます。自分の情報を他人に伝えたいと思っている人は、それが自分のメリットになっているか、情報発信自体が快感であるかのどちらかになりますから、情報をそのまま受け取ってはいけません。

 情報を出すことがメリットになっている人は、どのようなメカニズムでその情報が本人のメリットになるのかについてしっかり理解した上でその情報を受け止める必要があるでしょう。IT業界の人がもっとITを活用すべきだと主張するのは当たり前のことだからです。

 情報発信が快感になっている人の場合は、さらに踏み込んだ分析が必要です。

 ほとんど意味のない情報(究極的には自分の武勇伝など)を一方的に発信している人から話を聞いても時間の無駄です。しかし、そうではない人の場合、ちょっとした会話から重要な情報の断片を得ることができる場合もありますから、このあたりをよく見極めた上で、うまく情報を引き出さなければいけません。

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承認欲求をうまく活用する

 例えば、自分が何かのビジネスを行っているとして、ライバルになっている会社の動向を知りたいと仮定しましょう。

 話を聞く相手が利害関係者の場合、重要な情報を持っている可能性がありますが、ストレートに質問すれば警戒されるに決まっています。
 あらゆるケースにあてはまりますが、人から情報を聞き出すには、まず相手に喋りたいと思わせる必要があります。この点が、最初から外部に情報を提供する意思のある人たちとの最大の違いです。

 趣味やスポーツなど、本題と関係ないところで共通の話題を見つけ、相手に楽しいと思ってもらう方法は一般的によく使われます。これは営業マンが、顧客のところで世間話をして、相手をリラックスさせ、商談を有利に進める行為と基本的に同じと考えてよいでしょう。

 もう少し高度な方法として、相手の「語りたい」欲求をうまく刺激するという方法もあります。

 特に日本人にその傾向が強いのですが、人は思いのほか、強い「承認欲求」を抱えています。この部分をうまく刺激できれば、その「語り」の中から、非常に重要な情報を引き出すことが可能となります。

 ジャーナリストが取材によって情報を得たり、コンサルタントが相手の会社の中で何が起こっているのかを把握する際も、基本的な手法は同じです。相手の気持ちをうまく刺激して、その中から重要な情報を少しずつ引き出ていくのです。

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