ターゲティングによって具体的な顧客層を選定

加谷珪一の知っトク経営学 マーケティング編 第4回
【ターゲティング】

 前回は顧客をグループ化して分析するセグメンテーションという概念について解説しました。今回は、その次の段階であるターゲティングについて説明します。

具体的に攻める市場を決定する

 顧客のセグメンテーションによってグループ分けが完了したら、今度はどの顧客層をターゲットにするのか決めていくわけですが、一連の作業をターゲティングと呼びます。

 例えば地域と価格帯によって顧客をセグメント化した場合、それぞれのセグメントが自社にとって有益なのか検証し、どのセグメントを狙えばよいのか考察していくわけです。

 いくら有望そうに見えるセグメントがあっても、それが自社の状況にマッチしていなければ意味がありません。各セグメントからもっとも有効性の高いエリアを見つけ出すためには、以下に列挙するような複数の項目を使って各セグメントを評価・検証する必要があります。

 ①市場規模が大きいか
 ②成長性があるか
 ③影響力があるか
 ④可能性が高いか
 ⑤競合がいるか

 企業にはそれぞれが持つ基礎体力というものがありますから、各社ごとに適切な市場規模があります。売上げの大きい企業の場合、小さい市場に参入しても効果はたかが知れています。逆にシェア争いになることが予想されている場合には、小さな企業が大きな市場に参入するのは危険です。
 今は大きな市場でも今後もそうであり続ける保証はありません。市場の成長性についても検証しておく必要があるでしょう。

target

セグメントが相互に関連している場合がある

 注意すべきなのが各セグメントの関連性です。セグメンテーションは、あくまで形式的な分類であって、それぞれが完全に独立しているとは限りません。

 ある市場に参入することで、他の市場に決定的に大きな影響を与えることができる市場というものが存在します。自動車の分野における高級車はまさにその典型ですが、この分野を制することができると、他のランクの市場にも極めて大きなインパクトをもたらします。

 トヨタがクラウンという高級車ブランドがあるにもかかわらず、レクサスを何としても成功させたかったのは、他のセグメントへの影響を考えてのことです。このような顧客セグメントの場合、多少コストがかかっても、優先順位を上げる必要があります。

 すべてを満たす解は存在しないことがほとんどですから、現実には、消去法的にベストなセグメントを抽出することになります。ここがマーケティング担当者の腕の見せ所ということになるでしょう。

「加谷珪一の知っトク経営学」もくじ