事業を行うことの本質的な意味

お金持ちを科学する 第13回

 前回は、フローではなくストックで富を得るということの本質について解説しました。ストックで富を得るためには、事業を行うのがもっとも合理的なのですが、今回はその理由について詳しく説明します。

1人で得る収入には限度がある

 富の源泉となるのは基本的には事業や労働によって毎年得られるフローです。大きな額を売り上げたり、高い給料をもらうことができれば、そこから経費と税金を差し引いた金額は自身の資産(ストック)となります。
 
 大きなフローを得るためには、毎年の稼ぎを大きくすればよいわけですが、これを実現するのはそう簡単なことではありません。特に1人の労働で億単位のフローを得るのは並大抵のことではなく、サラリーマンの場合には、外資系の投資銀行にでも勤務しない限り難しいでしょう。

 スポーツや芸術などの分野で成功すれば、億単位の年収も可能ですが、これを実現できる人というのは、ごく少数ですから、普通の人には縁がありません。

 しかし、個人の稼ぎを大きくすること以外にも、フローを拡大する方法があります。それは仕事を横展開し、規模を拡大することです。

 例えば、自分1人でソフトウェアを開発し、それを販売したとします。1人で開発したりサポートする範囲には限度があり、1年間の稼ぎにも一定の上限が出てきてしまいます。
 しかし、このソフトウェアがそれなりの人気商品であれば、エンジニアを雇って機能を向上させた上で、販売網を構築することで、売上高を何倍にも増やすことが可能となります。自分以外の人の力を借りて販売規模を拡大していくわけですが、これが事業というものです。

 事業を行う場合には、たいていの場合、株式会社など事業主体となる法人を設立します。企業の創業者はその会社を所有し、経営するという形で、実質的にその資産を自身のものにすることができます。これがいわゆる企業オーナーと呼ばれる人たちです。

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事業は簡単に売買できる

 ここで重要なのは、この資産は自由に売買することができるという点です。
 自分自身が稼いでいるうちは、その稼ぎを自分が蓄積することでしか資産を形成することはできません。しかし法人という形で事業を所有すれば、その事業をいつでも他人に売却できることができるのです。

 売却する際の企業価値(つまり株価)は、事業の業績に応じて変化することになり、将来の期待値によっては、売却金額は大幅に上昇します。事業が今後も拡大し、大きなフローが得られるという期待値が高まれば、その事業には、実際の資産価値を大きく超えた価格がつくでしょう。

 株式の上場というのは、こうした事業の売買を株式という形で小分けにし、システマティックに実施するための仕組みということになります。

 もし将来、その会社が何十倍にも発展するという期待があれば、その企業を何億、何十億円という金額で売却することができます。短期間で大きな資産を作る人のほとんどがこのパターンです。コツコツと高い年収を貯蓄に回すやり方と比べると、圧倒的な効率の良さです。

 基本的に大きな資産を作りたければ、この方法を模索するのがもっとも早道であり、これ以外の方法はかなり難しいと考えた方がよいでしょう。

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