ストックで富を得るというのはどういうことか?

お金持ちを科学する 第12回

 前回はフローを蓄積して富を作ることは効率が悪いという話をしました。びっくりするような巨額の資産を構築する人のほとんどはフローを蓄積したわけではなく、ストックそのものを増やすというやり方で資産を増やしています。これはどういうことなのでしょうか。

孫正義社長は貯金で2兆円の資産を作ったわけではない

 一般的な家計では、ストックの多くが貯金になっていると思います。しかし、事業を行っている人やある程度以上の資産を持っている人の場合には、貯金ではなく、株式や債券などがストックの主体となるケースが増えてきます。もし投資した株式が大きく値上がりすれば、フローの量を全く変えることなくストックの量を増やすことが可能となるわけです。

 株式というのは、市場で売買されている一般的な株式に限定されているわけではありません。自分自身が会社を設立して、そこに投資してもよいわけです。実は巨額の富を形成する資産家のほとんどは、こうした形でお金を作っています。フローの結果を積み上げて、巨額の資産を作っているわけではありません。

 ソフトバンクの孫正義社長はソフトバンクの社長としての年俸は1億4000万円しかなく、ちょっとした芸能人の方が圧倒的に高い年収を得ています。しかし孫氏の資産額は2兆円に迫る水準となっており、この金額は1億円をコツコツ貯金して作れるレベルではありません。

 孫氏がここまでの資産を構築できたのは、自身が設立したソフトバンクという会社に自身が投資を行い、ソフトバンクの業績が拡大して株式が高値で取引されるようになったからです。

 株式という資産の価値がどのように決定されるのかについては、証券市場で売買されている株式の値段がどのように決まるのかを理解するのが早道でしょう。

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何らかの投資をしなければ大きな資産を作ることは不可能

 今現在、1000円という値段が付いている株式はなぜ1000円なのでしょうか。もちろん、直前に取引された値段が1000円だからというのが直接的な理由なのですが、ここではそのようなことを言いたいわけではありません。株価の本質的な価値がどこから来ているのかという話です。

 今、1000円の株を購入すると、その株からは毎年50円の配当が得られると仮定しましょう。その株を持っていれば毎年50円の収入があるわけですから、20年で完全に元が取れる計算となります。20年で元本が回収できる投資商品の値段が1000円ということなのですが、高いか安いかは、人それぞれということになるかもしれません。

 しかし、この株が1万円だったら、配当で利益を回収するまで200年もかかってしまいます。おそらく誰も株を買おうとはしないでしょう。一方、株価が100円であれば、2年で元本を回収できますから、一瞬で売れてしまうはずです。株価というのはこのあたりのバランスで決定されることになります。

 つまり企業として稼ぐ金額が大きければ大きいほど、そして、将来、その企業がどのくらい稼ぐのかという期待値が大きいほど株価は高くなりますが、ソフトバンクのレベルになるとこれが兆の単位にまで膨れあがるわけです。

 このようなメカニズムによって、自身の会社に出資した1000万円程度の資金が、最終的には何十億、何百億円に大化けするのです。これがストックで富を作るということの本質的な意味です。

 このメカニズムは、お金持ちを科学するにあたって、もっとも重要なポイントといってよいでしょう。多くの人は、フローを蓄積、つまり年収の一部を貯蓄に回して資産を作ろうと考えてしまいますが、この方法では限界があります。何らかの形で投資を行わないと大きな資産を作ることはできないのです。

お金持ちを科学する もくじ