特定の投資手法に固執していはいけない

加谷珪一の投資教室 実践編 第4回

 特定の投資手法や考え方に固執するタイプの人は、たいていの場合、投資の世界で勝ち続けることはできません。市場は複雑であり、その時々で姿を変えてしまいます。同じ手法が常に適用できるとは考えない方がよいでしょう。

ファンダメンタルとテクニカルは仲が悪い

 投資手法には大きく分けて2つの方法があります。ひとつはファンダメンタル分析、もうひとつはテクニカル分析です(投資手法の基礎については、連載記事「加谷珪一の投資教室(基礎編)」を参考にしてください)。

 筆者はファンダメンタルな手法をベースに、必要に応じてテニクカルを使う立場ですが、不思議なことに、ファンダメンタル派の人とテクニカル派の人はあまり仲がよくありません。ガチガチのファンダメンタル派の人は、チャート分析といったテクニカル手法をバカにしていることが多く、インチキだと主張する人もいます。

 一方でテクニカル派の人たちは、ファンダメンタル派に対して、数字とにらめっこしていても相場では勝てないと主張しています。

 ファンダメンタル派の人が、テクニカル派をバカにするのは、テクニカル手法のパフォーマンスはインデックスを超えられないという、学術分析を解説した投資本を受け売りしたものと考えられます。

 しかしながら、彼等が信奉するファンダメンタル分析にも、人々の期待値やディスカウントレートといった仮説が入り込む余地がたくさんあり、厳密な良いでは科学的とは言い難い部分がたくさんあります。どちらか一方が正しく、どちらが間違っていると断定できるほどの材料は揃っていないのが実情でしょう。

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マクロ経済を見落としている人も多い

 さらに両方の派の人に共通の傾向として、株式投資が好きな人は、あまりマクロ経済の動向に関心を払わないという特徴があります。

 マクロ経済に関心を払わない人は、優良企業にさえ投資できれば自然と利益は付いてくる、あるいは、しっかりとしたテクニカル手法に基づいて投資をしていれば、経済環境は投資成績に関係しないと考えているフシがあるようです。
 しかしながら、現実の相場というのは、ひとつのやり方だけで勝ち続けられるほど甘くはありません。天才的な能力を持つ一部の人を除いては、特定の手法や考え方に依存するのは避けた方がよいでしょう。

 いくら個別に企業を評価するといっても、マクロ経済を要因とする市場全体の動きに勝つことはできません。トヨタがいくら超優良企業でも、日本市場全体が売られているときには、理論通りのパフォーマンスは出ないのです。

 以前、引き合いに出したバフェット氏も、レバレッジをかけてリスクを取っていることに加え、リーマンショック直後など、市場が大きく動いた時に思い切った行動を取ることで大きな利益を得ています(過去記事「バフェット氏を現実な投資家だと思っている人は要注意」を参照してください)。

 こうした機動的な投資をするには、個別企業の評価をしっかりと行うことはもちろん、マクロ経済の分析と、テクニカル指標を使った市場心理の分析をうまく組み合わせることがカギとなります。

 投資は、3分の1は「経済」の世界、もう3分の1は「理論」の世界、そして、残りの3分の1は「勝負」の世界です。

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