富裕層の顔ぶれは時代によって変化する(1990年代から2000年代)

お金持ちを科学する 第6回

 前回は1970年代から80年代の長者番付を眺めました。時代がさらに進んで90年代に入ると、一気に消費者金融業界のオーナーが顔を揃えるようになります。
 レイク元会長の浜田武雄氏、武富士元会長の武井保雄氏、ユニマットライフ創業者の高橋洋二氏、プロミス創業者の神内良一氏などがその代表格です。

消費者金融業界が一気に台頭

 90年代はバブル崩壊によって日本経済が折り返し地点となり、生活が苦しくなる人が増え始めていました。消費者金融業界が大きな成長を遂げ、そのオーナーが相次いで長者番付の仲間入りをしたのは決して偶然ではありません。

 また90年代は社会の多様化が進んだ時代でもありました。

 これまでにない業態で急成長したリクルート創業者の江副浩正氏、銀座マルカン創業者で多数の著書もある斉藤一人氏などの名前も登場するようになります。
 斉藤氏は何度も長者番付に出てくるのですが、資産ではなく所得が大きい富裕層の典型といってよいでしょう。本人も節税をしないと公言しているほどなので、彼の納税金額は特に目立つ結果となりました。

 2000年代に入ると、途中から高額納税者の名簿は公表されなくなりますから、富裕層としてメディアなどで取り上げられる人は、株式を上場した企業のオーナー社長に集中するようになってきます。

 ソフトバンクの孫氏や、ユニクロの柳井氏、楽天の三木谷氏など、今でもお馴染みの名前が並び始めます。そう考えると、今の時代というのは2000年頃を境に形作られたことがよく分かります。逆に言えば、このメンバーの顔ぶれが変わった時が、新しい時代の始まりともいえるわけです。

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いわゆる「億り人」が登場し始めたのもこの時代

 このほか、2000年代に特徴的なのはパチンコ、パチスロなどアミューズメント関係です。三共創業者の毒島邦雄氏、ゲーム機メーカーセガを買収したサミー(現セガサミーホールディングス)会長の里見治氏、ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ)会長の岡田和生氏などの名前が出てきます。

 毒島氏は米フォーブス誌がまとめる世界の長者番付にもたびたび登場しました。

 ユニークなところでは、日本一稼ぐサラリーマンといわれたタワー投資顧問運用投資部長の清原達郎氏でしょう。小型株に集中してじっくり仕込む独特の投資手法で、莫大な利益を上げ、年収100億円のサラリーマンとして話題になりました。

 2003年から2007年にかけては、米国の不動産バブルの恩恵が日本企業にも及び、株式市場はバブル期以来の上昇相場となりました。

 ネット証券が本格的に普及し始めた時代でもあり、気軽に株式投資にチャレンジする若者が増えてきました。100万円程度の資金を元手に1億円、10億円という大金を作る人が続出したことから、その手法について解説した多くの投資関連本が出版されています。今でいうところの「億り人」が登場し始めたのがちょうどこの時期というわけです。
 
 また、アパートなどの一棟買いによる不動産投資(いわゆる大家さん業)が一般的になったのもこの頃です。ネットの普及によって、プロ向けの不動産会社にしか流通しなかった一棟モノの物件情報が広く流通するようになったことが大きく影響しています。

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