成功する人は、組織の基本的な形態を理解している

加谷珪一の知っトク経営学 組織編 第2回
【職能別組織と事業部制組織】

 組織を動かすため、あるいは組織の中でうまく出世するためには、組織織がどのような考え方に基づいてデザインされ、どんなメカニズムで動いているのか、理解しておいた方がよいでしょう。

職能別組織と事業部制組織

 組織の形態というのは、大雑把には2つのタイプに分類することができます。ひとつは職能別組織、もう一つは事業部制組織です。
 
 職能別組織というのは、同じ専門知識やノウハウを持った人ごとに組織分化した形態を指します。多くの会社は、経理、営業、総務、開発といった具合に、専門分野ごとに、部署を設置し、それぞれが専門業務を行っているはずです。職能別組織は、広く一般的に普及している形態といってよいでしょう。

 職能別の組織は、本連載(基礎・戦略編)の第1回で取り上げたテイラーが考案したものです。

 テイラーはあくまで工場の生産現場における生産性向上を目指していましたから、職能別といっても、組み立て、検品、納品、在庫管理など、工場の現場を想定した内容でした。その後、テイラーの考え方は、会社全体に適用されることになり、今のような、会社組織が出来上がりました。

 しかし、会社が巨大化し、業務が多角化してくると、職能別の組織形態ではうまく機能しなくなってきます。いくら営業部門が専門知識に特化しているといっても、文具の営業と食品の営業では必要とされるスキルやノウハウはまるで異なります。

 また人事部門に人事業務を集約した場合、ある程度の規模までなら、業務を効率化できますが、何万人もの社員を同時に管理することはできません。そこで登場してきたのが事業部制という組織形態です。

Copyright(C)Keiichi Kaya

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規模が大きくなると事業部制が効果を発揮するが欠点もある

 事業部制は、事業の分野ごとに会社の中に小さな会社を作るような組織形態を指します。

 ある事業部門の中に、それぞれ総務や営業、人事などの部門が配置され、あたかもひとつの会社のように機能させます。各部門の仕事は事業部内で完結しますので、仕事が肥大化することを防ぐことができます。

 実際、多くの巨大企業が事業部制を採用していますが、事業部制にもいくつか欠点があります。

 ひとつは、人員などに無駄な重複が生じやすいという点です。事業部制が徹底してくると、事業部ごとに人を採用するようになりますが、結果的に重複する人物を何人も抱えてしまうことになりかねません。
 また、事業部はひとつの会社のようになりますから、タコツボ化しやすいという欠点もあります。事業部間の人材や技術の交流がなくなり、各事業部は、企業全体よりも事業部の利益の方を優先してしまいます。

 パナソニックは、かつて徹底した事業部制を採用する企業として有名でした。しかし、複数の事業部が似たような製品を開発し、互いの顧客を奪い合うという事態も発生したことから、過度な独立は是正されるようになったという経緯があります。組織形態は一長一短があるわけです。

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