豊かな消費経済を持つ国は強い

加谷珪一の超カンタン経済学 第6回
【消費の果たす役割】

 GDP項目の中でもっとも大きな割合を占めるのが消費(C)です。日本のGDPは約540兆円の規模がありますが、消費の占める割合は約6割弱となっており、金額では約300兆円になります。

 消費は非常に巨額ですから、経済の状況は、消費動向に大きく左右されることになります。最終的に景気がどうなるのかは、消費次第と考えてよいでしょう。

消費は経済全体の6割弱を占める

 消費は経済に対して極めて大きな影響力を持っているわけですが、規模が大きいがゆえにで、動きが鈍いという特徴があります。消費は巨大な山のような存在であり、そうそう簡単には増えたり減ったりしないのです。

 この話は身の回りの支出を考えてみればよく分かると思います。

 消費の中には、生活をしていく上で、どうしても支出しなければならないものと、そうでないものに分かれます。日々の生活に欠かせない衣類や食品などは、景気の動向にかかわらず、一定金額を支出しなければなりません。

 エンゲル係数は、家計の支出に占める食費の割合を示したもので、社会の豊かさ、貧しさを反映するといわれていますが、その理由は、食費は大きく削ったりすることができないものだからです。家計の収入が落ちても食費は極端に減らせませんから、家計の支出に対する食費の割合は上がってくることになります。

 一方、高価な時計や海外旅行などは、何かの記念や自分へのご褒美といったタイミングで支出することも多く、日常的なものではありません。
 こうした高額の支出は、景気の動向に大きく左右されることになります。ボーナスをたくさんもらった年は多く支出するかもしれませんが、ボーナスが減らされた年はかなりの節約モードになっているでしょう。

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消費が弱いというのは経済にとって赤信号

 多くの人にとって、働いて稼いだ額のかなりの割合が、基礎的な消費に消えているはずです。お金が余っているような富裕層は少ないですから、経済全体で考えると、消費のほとんどは基礎的な消費ということになります。したがってこうした消費は短期間で大きく上下変動する事はありません。消費が巨大な山のような存在といったのはそのような意味です。

 逆にいうと、景気の先行きが非常に悪い状況になると、人々はこうした基礎的な消費すら控えるようになってきます。そうなってくると、経済へのマイナスは計り知れません。つまり消費が落ち込むような状況になった時には、景気の動向はかなり深刻と見て良いでしょう。

 本コラムでは豊かな消費経済が存在する国は強いという話をしましたが、それは消費が経済にとって基本的な支出だからです。基本的な支出が大きいということは、基本的な需要が大きいということであり、それを満たす豊富な製品やサービスが存在することを意味しています。

 このように消費というのは経済の根幹をなす重要な支出項目です。経済を分析する時には、まず、消費の動向がどのようになっているのか調べることが重要となります。

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