人は稼いだお金の一定割合を消費する

加谷珪一の超カンタン経済学 第3回
【貯蓄=投資】

 第1回では消費と投資は異なる支出であること、第2回ではマクロ経済的には、お金を払う人とお金を受け取る人が同じになることについて解説しました。今回は、もう少し具体的にお金はどのように使われるのかについて説明したいと思います。また「貯蓄=投資」というマクロ経済における重要な概念についても解説します。

人は稼いだお金の一定割合を消費する

 前回までの説明では、企業は稼いだお金の中から設備投資を行うことを前提にしていましたが、現実はそれだけではありません。企業は銀行からお金を借りて設備投資をするケースが多くなっています。銀行融資の資金源になっているのが、個人の貯蓄です。

 人はお金を稼ぐと、その何割かを消費して、残りを貯金します。年収が多い人はたくさん貯蓄できますが、年収が少ない人は必要な支出でほとんどの収入を使い果たしているかもしれません。人によって環境は異なるわけですが、経済全体で見れば、人は稼いだお金の何割かは貯金しているはずです。

 経済学の世界でも基本的には同じように考えます。人はお金を受け取ると、その一部を消費に回します。消費されなかった残りのお金のことを貯蓄と呼びます。

 貯蓄の多くは銀行預金となっていますが、わたしたちが銀行に預けたお金は、ずっと銀行の中に眠っているのでしょうか。そうではありません。
 銀行は金利を稼ぐビジネスですから、預金者から預かったお金を遊ばせておくことはしません。預金されたお金は、融資などの形を通じて企業に提供され、設備投資に使われているのです。

 銀行は、預金者が預金を引き出すことを望んだ場合には、それに応じる義務がありますから、契約上、預けたお金は存在しています。しかし物理的には、預けたお金はもはや存在しておらず、店舗や工場などへの投資に回されています。

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貯蓄されたお金は最終的にすべて投資に回される

 株式などに資金を投じた場合でも基本は同じです。誰がそのお金を受け取り、どこからのタイミングで銀行預金を行いますから、最終的には何らかの形で銀行に集められることになります。

 つまり、経済全体で見た場合、個人が消費せずに貯蓄したお金は、すべて投資に回っているとみなすことができます。経済学では、貯蓄=投資になるという話がよく出てくるのですが、それは、消費の残りが貯蓄され、投資に回っているからです。貯蓄と投資が等しくなるというのは、経済学では非常に重要な概念ですから、よく覚えておいてください。

 整理すると、人は稼いだお金の一定数を消費し、残りを貯蓄します。貯蓄されたお金もいろいろな所を経由して世の中を回りますが、最終的には貯蓄されたお金は銀行経由で投資に回されることになります。

 投資されたお金は、新しく工場や店舗を作るために使われ、将来的にはそれが新しい製品やサービスを生み出すことになります。消費だけでは経済活動を維持できませんし、投資だけでは、日常的に必要な商品やサービスを手に入れることはできません。消費と投資のバランスによって経済は成り立っているのです。

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