コンビニの躍進を支えたドミナント戦略

コンビニ経済学 第4回

 コンビニは小売店ですから、どの場所にお店を出すのかというのは、もっとも重要な経営判断のひとつです。コンビニ業界でもっとも有名な出店戦略は、ドミナント戦略と呼ばれるものです。
 これは最大手のセブン-イレブンが積極的に採用していることで有名ですが、他のコンビニも多かれ少なかれドミナント戦略を実施しています。

近くに何軒も同じコンビニがある理由

 ドミナント戦略とは、ある特定地域に店舗を大量に出店し、その地域における高いシェアを狙う出店戦略です。近所で同じコンビニを何軒も見かけるという経験をしたことがあると人は多いと思いますが、まさにこれがドミナント戦略です。

 ドミナント戦略にはいくつかのメリットがあります。ひとつはお店の認知度と来店頻度が向上することです。近隣のエリアに同じ店がたくさんあると、お店に行っていない人も、お店の存在についてよく認識するようになります。

 そうなると、何かが欲しいと思った時、真っ先にそのお店が目に浮かび、結果的に来店者数が増えるくるのです。具体的には、ある地域における店舗のシェアが30%~40%を超えると、各店の平均売上高が大幅に伸びることが経験則的に知られています。

 もうひとつはフランチャイズを運営する本部側にとって、効率が良いという点です。コンビニは店舗の面積が狭く、商品を保管するための設備(バックヤード)を大きくすることができません。このため、コンビニの商品配送は必然的に多頻度小口配送とならざるを得ません。

 多頻度小口配送は手間やコストがかかりますから、できるだけ同じエリアに店舗があった方が効率が良くなります。また、コンビニはフランチャイズ制度を採用していますから、各地域本部が店舗の運営状況を管理するのですが、近隣に店舗が集中している方が、本部の社員が店舗に行きやすくなります。店舗で各オーナーと打ち合わせをする時間をより多く確保できるわけです。

 こうした理由から、コンビニ各社はドミナント戦略を採用しているのですが、この戦略をもっとも徹底したのがセブン-イレブンです。

地図はイメージです

地図はイメージです

市場の飽和で状況は変わりつつある

 セブンは創業時からドミナント戦略を徹底させており、これが業界トップを維持できた理由の一つともいわれています。

 ドミナント戦略をやり過ぎると、店舗間で顧客の奪い合いとなるため、既存店を運営するフランチャイズ・オーナーと本部の利益が相反することもあります。しかし、店舗オーナー側にとっても最終的には売上高の増加が目的ですから、うまいバランスが取れるギリギリの範囲まで出店が模索されることになります。

 こうした出店戦略が存在していることから、当初、コンビニは地域によってお店にバラツキが見られるという状況でした。しかし、コンビニが社会に普及するにつれて、各社があらゆる地域に出店するようになり、特に都市部においては、どの場所に行っても、各社が出店しているという状況になっています。

 日本において十分な来客が見込めるエリアはほぼ開拓し尽くしたと言われており、これ以上、大量に出店する余地はあまり残されていません。また日本の人口は本格的な減少に転じますから、コンビニの店舗もスリム化が必要となってきました。今後は、従来型の出店戦略を見直すところも出てくるでしょう。

コンビニ経済学もくじ