株価の下落局面で威力を発揮する日柄調整と値幅調整の概念

加谷珪一の投資教室 第23回

 株価がすべてファンダメンタル的な要素だけで決まり、しかも市場が効率的であるならば、日々の上限変動は限りなく小さくなります。
 しかし現実には、株価はかなりの上限変動を繰り返しながら、上昇したり下落するのが一般的です。こうした要素があるからこそ、テクニカル手法を活用する余地が出てくるわけです。

日柄調整と値幅調整の違い

 上昇していた株価が踊り場に差し掛かったり下落することを「調整」と呼びますが、テクニカル的な意味での調整には2種類あります。ひとつは「日柄調整」、もうひとつは「値幅調整」です。

 「日柄」とは、時間がどのくらい経過したのかという視点を重視したものです。これに対して「値幅」の場合、価格がどのくらい下がったのかという視点が重要となります。

 株価は、まっすぐに上昇したり下落するわけではありません。株価の上昇が続いたと思うと、しばらく横ばいが続くような展開がよく見られます。株価の上下変動が一定の範囲内に限定され、上昇とも下落ともつかないような状態のことを「持ち合い」と呼びます。

 持ち合いの状態がしばらく続くと、どこかのタイミングで、株価は上昇か下落か、はっきりとした方向性を示し始めることが多いというのも経験則のひとつです。

 つまり株価は価格そのものも大事なのですが、時間の感覚がより重要です。どのくらい待てばよいのか、あるいは待たずにすぐに動き出すべきなのかというのは、時間軸を意識する経験を積んだ人でなければ、うまく判断できません。

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下落局面は極めて重要

 日柄の感覚は株価の下落局面では特に生きてきます。株価が大幅に下落した時は、買いを入れようと考えている人にとっては大きなチャンスといえます。しかし、ここには大きな落とし穴が待ち構えています。

 もう十分下がったと思って買いを入れると、そこから株価はさらに下落し、心配になった投資家は、そこで損切りをしてしまいます。しかも、損切りしたあたりから株価は上昇を開始し、大きな機会損失まで抱えるという結果になってしまいがちです。

 このような時は、価格ではなく、下落が始まってからの日数に着目した方が、底入れのタイミングなどを把握しやすくなります。例えば、下落が始まってから3日が経過して、まだ下がっているとすると、反転する可能性の高いタイミングはさらに5日後といった具合に、後ろにズレ込んでいくのが普通です。

 日柄の分析でよく用いられるのがフィボナッチ級数です。詳細は割愛しますが、1、2、3、5、8、13、21と数が増えていく級数で、時間の予想によく用いられます。感覚的には、株価の調整が長引いたら、上向くにはさらに時間がかかると考えればよいでしょう。

 テクニカル分析の代表的な手法のひとつである一目均衡表でも、9日、17日、26日、33日、42日、65日という数字が用いられます。これも、9日待って転換しなかったら次は17日目、次は26日目という意味です。

 これは上昇相場でも適用できます。相場の上昇がある程度、続いた場合、すぐに下落に転じることはなく、さらに長期にわたって上昇が続くと考えた方がよいでしょう。

 株価がこのような動きを示すのは、人間の心理に関係していると言われていますが、はっきりしたことは分かっていません。

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