ジャンボやA380といった超大型機が消滅の危機

 ジャンボジェットに代表される、いわゆる超大型機が姿を消そうとしています。背景にあるのは、LCC(格安航空会社)の普及による、航空機の路線バス化です。

ボーイング747もエアバスA380もギリギリの状態

 これまで空の旅の花形といえば、ジャンボの愛称で親しまれたボーイング747や、総2階建のエアバスA380など、いわゆる超大型機でした。

 ところがボーイング747とエアバスA380が消滅の危機に瀕しています。欧州エアバスの幹部は2017年1月、A380について生産中止を検討していると発言し、市場に衝撃が走りました。最終的には、大口顧客であるエミレーツ航空から追加発注があり、生産中止は免れましたが、ギリギリの状態であることに変わりはありません。ジャンボについても製造元である米ボーイング社はこれまで何度も生産中止を検討しています。

 このところ航空機メーカーは超大型機をほとんど生産していません。航空会社からの注文はもっぱら、中小型機が中心という状況です。

 ボーイングが2017年に納入した763機のうち、529機がボーイング737、136機がボーイング787でした。737はロングセラーの小型機ですし、787は最新鋭の中型旅客機です。大型機は90機ほど納入しているのですが、大半が双発で取り回しのよいボーイング777でした。

 エアバスも7年先までの受注残を抱えるほど業績は好調ですが、2017年に納入した718機のうち558機が小型のA320となっており、超大型機であるA380はわずか15機という有様です。

A380

市場の拡大に伴い、飛行機はもはや路線バスに

 航空会社が中小型機ばかり注文するのは、航空市場の拡大と密接に関係しています。経済が停滞している日本にいるとあまり実感しませんが、世界の航空輸送は驚異的なペースで拡大しています。

 こうした市場拡大の原動力になっているのが、LCC(格安航空会社)です。

 LCCは基本的にコスト勝負なので、従来の航空会社とは異なり、搭乗率を極限まで上げる必要があります。特に欧州やアジア地域の場合、旅客数が少ない近距離路線が無数にありますから、取り回しのよい中小型機の方が運用しやすいのです。

 大手の航空会社も、競争が激化してきたことから、基幹路線を飛んだ直後に、同じ機体をローカル路線に投入するといったきめ細かいオペレーションが必要となっています。

 航空輸送がここまで拡大したのは、ジャンボのような超大型機が登場し、国際線を中心に輸送力が飛躍的に伸びたおかげです。市場拡大の原動力となった超大型機が、市場が拡大した結果として不要になっているというのは、何とも皮肉な結果です。

 航空機は機体が大きければ大きいほど、機内の騒音は少なくなり、閉塞感や圧迫感も減少します。ジャンボやA380といった超大型機は、広い客室スペースを生かした豊富な機内サービスと、圧倒的な静粛性などによって、一部の顧客から熱烈に支持されてきました。

 筆者も個人的には747が大好きだったのですが、航空機はもはや路線バスと同じです。ゆっくりと空の旅を楽しむことを期待するのはもはや難しそうです。